Exhibition

小さなデザイン 駒形克己展【終了しました】 足利市立美術館

GO ON編集人

グラフィックデザインの仕事をして20年近くなるが、すみません、駒形克己氏の名前を聞いてもどのようなデザインをしている方なのかパッと思い浮かばず。

しかし作品をみてハッとした。コム デ ギャルソンの案内状やタグ、ズッカのロゴをデザインした方なのか。

デザインの展示は、もちろん自身の勉強になるので足を運ぶことは多い。しかし、色々と、そう色々と落ち込むわけで。自身との差が大きすぎてとても落ち込む。

さらに、先輩に毎日怒られていた暗黒の20代の日々を思い出し、胃がキリリと痛むこともしばし。

今回の展示は大きく「ロス・N.Y」「グラフィックデザインの仕事」「絵本の仕事」と分かれていた。私は主に「グラフィックデザインの仕事」に注目をして観賞をしていた。

展示は、大好きな平面構成からスタート。美しい平面構成をみていると気持ちがすーっとなる。美しいな。

展示の中で見応えがあった作品は、作品が完成するまでのスケッチの数々。

タバコのパッケージデザインのスケッチや絵本のアイデアスケッチなど。タバコのパッケージデザインは、デザイン決定まで1年半も費やしたらしい。私の仕事とは比較にならないな、なんて落ち込みそうになりながら観賞を続ける。

駒形氏は「スケッチワークは大切だ」と言う。スケッチつまり手で描くことには、力強さを感じるが、Macなどコンピューターで作成した形は形を追っていない、弱く感じる、と話す。私は先輩に「ロゴマークのサムネ100個考えてきて」と言われたことを思い出した。手でラフスケッチをしないでMacに向かうと、ものすごく怒られたな。

最後に「デザインとは何か」と駒形氏へ尋ねた。「デザインはコミュニケーションツール、絵心が大切である」と。20年前に先輩に言われた言葉と同じであった。暗黒の20代に学んできたことは、間違っていなかったなと改めて思った。鬼の先輩、ありがとう。

ところで、なぜ「小さなデザイン」?

作品を一通り鑑賞すると、そのタイトルに納得がいくはず。

Place

足利市立美術館
足利市立美術館

集合住宅と併設された美術館。1階と2階は美術館、その上は住居という個性的なつくり。 通るたびに、住んでいる方をうらやましく思う。