Exhibition

竹久夢二の美人画とモダンデザイン
-美しいもの・可愛いもの-
【終了しました】 群馬県立館林美術館

【展覧会概要】※展覧会概要の下に取材記事を掲載しています

岡山県に生まれた竹久夢二(1884-1934)は、1905(明治38)年、雑誌『中学世界』でコマ絵が第一等に入選したことで一躍有名になり、以来、情緒溢れる美人画で一世を風靡しました。その一方で、色彩や構成に対し瑞々しい感性の持ち主であった夢二は、デザイナーとして商業デザインの分野でも活躍しました。

1914(大正3)年、夢二は日本橋に自らデザインした絵葉書や千代紙、封筒などを販売する「港屋絵草紙店」を開店します。それらの商品は、店の売出しチラシにおいて「美しい」「可愛い」という言葉を用いて宣伝され、人々の憧れの的となりました。

夢二は群馬ともゆかりが深い作家です。伊香保を度々訪れ、1930(昭和5年には榛名湖のほとりにアトリエを建て、生活と美術を結ぶことを理念とした「榛名山美術研究所」を構想しています。

夢二に焦点を当てた展覧会として、群馬の県立美術館において40年ぶりの開催となる本展では、「夢二式美人」と呼ばれる女性像を描いた肉筆画を紹介するとともに、書籍の装幀、雑誌の表紙や挿絵、絵葉書、楽譜など夢二が手がけたデザインの数々により、大正から昭和にかけてのモダンデザインの様相に着目します。さらに書簡などを通して群馬との関わりにも触れます。

豊富な夢二コレクションを有する美術館・記念館・文学館・個人コレクターより借用した約 300点を通して、時代を経ても色褪せない、美しく愛らしい魅力に溢れた夢二の作品世界をぜひお楽しみください。

『婦人グラフ』第3巻第4号 表紙「エイプリル・フール」
1926(大正15)年 金沢湯涌夢二館

【展覧会を鑑賞して】

「竹久夢二」と聞いて、何をイメージするだろうか。
私は、しなやかなシルエット、面長の顔、はかなげな印象のある美人画のイメージが強かった。作品のタイトルも魅力的で、そのタイトルからアレやコレやと想像しながら鑑賞していた。

しかし今回の展示では美人画よりも書籍の装幀に惹きつけられた。
つまり「美しい」より「可愛い」の方に心を奪われてしまったようだ。

会場は第1章から第8章まであり、特に第2章の展示に興奮した。この章をひとことで言うと「THE 乙女」。乙女とモダンデザインが融合されている、とでもいうのだろうか。感想を述べたい作品はたくさんあるのだが、1点選ぶとなると静岡市美術館所蔵の『春のおくりもの』(竹久夢二著・装幀)だ。生前最後の著書である。函(はこ)には春の風景を背に立つ本を抱える乙女、書籍の表紙・裏表紙はピンク色と水色の格子柄(ラフな手描き)、背表紙には金の箔押しでタイトルが記載されている。完璧な装幀である。色使いやデザイン、全てが100%、いや2億%乙女である。この作品は第2章の最後に展示されているのだが、第2章全体をみてからこの作品を目にすると、まさに「乙女の集大成」といった感想を抱く。

竹久夢二の描く乙女はただ可愛いで終わらない。ちゃんとデザインされている。だから100年近くたった現代でも通用するのだ。特に文字のデザイン(タイポグラフィ)が素晴らしく、平面構成がしっかりなされている。もちろんデザイナーとしても活躍していたので、余白の取り方などバランスが取れていて美しい。「なんでもできる夢二先生、ちょっとずるくないですか」、そんなことを思いながら、私は第2章を2周した。

さて、こうなってくると可愛い乙女も描けるし、色気のある美人画も描ける竹久夢二の脳内が気になって仕方がない。そして私生活が気になる。どうして「乙女心」が分かるのだろうか。どうして女性の「美しい角度」が分かるのだろうか。たまき、彦乃、お葉、竹久夢二と関わった女性も魅力的だが、これはまた「別のお話」。

私のコラム「勝手に妄想映画館 3」で触れているが、鈴木清順の「夢二」をもう一度みようかと思う。少しは夢二先生の頭の中が覗けるだろうか。

観賞後はぜひ竹久夢二グッズがたくさん並ぶミュージアムショップへ。新しくなった館内のカフェもオススメ。時間をかけてゆっくりと、この場所では美しいものしか目に入らないから。そしてお気に入りの夢二作品を見つけてほしい。

※施設の利用状況に関しては群馬県立館林美術館のWebサイトをご確認ください

http://www.gmat.pref.gunma.jp/

Place

群馬県立館林美術館
群馬県立館林美術館

広大な自然の中に佇む群馬県立館林美術館は、どこをとっても絵になる素晴らしいロケーションが魅力的。朝から夕方まで、ゆっくりと過ごしたい場所である。