Exhibition

Art Meets 07
後藤朋美/田村尚子
【終了しました】 アーツ前橋

GO ON編集人

【展覧会概要】※展覧会概要の下に取材記事を掲載しています

「Art Meets」は、アートを通じて創造的な日常を発見し、多様な考え方や感性に触れることを目的に、中堅アーティストの活動を紹介する2人展です。アーツ前橋では、本企画を年1 回のペースで開催してきました。第7回は、後藤朋美と田村尚子を紹介します。

後藤は、各地の海水から採取した塩を用いた砂時計や、植物等を人間の臓器に見立てて配置した作品など、個人を超えた自然の大きなサイクルの中で「生」を捉えなおす活動を続けています。田村は、被写体がまとう曖昧な空気を捉えた写真をはじめ、ポラロイドにタイプライターで印字した「テクストグラフィ」や、数年のタイムラグで捉えた2つの像を一枚に焼き付ける二重露光写真など、メディウムの可能性を試しながら、イメージと物質と時間の概念を拡張させていきます。

どちらの作家の作品も、普段私たちが知っているものの背後にある根源的な構造ないし力を前景化させるものだと言えます。彼女たちの作品に触れることで、私たちの見ている世界が新たな相貌をみせることになるでしょう。

後藤朋美
群馬県前橋市出身。岐阜県在住。2022年より情報科学芸術大学院大学[IAMAS]在籍。国内外の旅や移動を経て、作品を制作。アーティストとしての活動の他に、書籍の装画やCDのアートワーク制作などを行う。2012年からは、廣瀬智央とともに前橋の母子生活支援施設のぞみの家と19年にわたるプロジェクトを継続している。

田村尚子
徳島県生まれ、京都在住。〈voice〉、〈ソローニュの森〉、〈Thaümata〉など写真シリーズで国内外の各分野から注目を集めるほか、映画制作や書籍装幀などに関わるなど幅広い仕事を手掛ける。近年は「ヴュッタ―公園」名義でコレクティブとしても活動を展開している。

後藤朋美 《2回目の初めて》 2020年 髪、海で汲んで製塩した自然塩、植物、他 H200×W468×D999mm
作家蔵 撮影:木暮伸也
田村尚子 〈Thaümata〉2019年 ヒロシマ・アート・ドキュメントでの展示風景

【展覧会を鑑賞して】

後藤朋美《塩の時計 – 奥松島市 里浜》(塩の時計シリーズ)。
各地の海水から採取した塩を用いた砂時計が展示されている。9つの塩の砂時計が並んでいるのだが採取地をみると、なんとなく作者のメッセージを想像してしまう。それぞれの塩は、少し茶色だったり色や量が異なる。作者がその時間・その場所で採取した空気と物体、そして想いが砂時計の中には含まれているのだろう。

後藤朋美《触れることができる間に》。
プロジェクターの映像が氷を通して壁に投影する、氷のインスタレーションだ。まさか氷だと思わなかったので驚いた。私が鑑賞した日は8/6展覧会初日だったので、氷が溶けている様子は感じなかったが、時間が経つにつれて氷は溶けていくだろう。そうすると壁に投影されている映像も変化していく。近所に住んでいたら日々観察に行きたいと思った。

田村尚子《La Borde-Excrusion》。
この作品のシリーズは、それぞれ色が飛んでいて遠くからみると水彩画のようにも感じた。何気ない生活の一コマだが、一瞬「なんだろう」と見入ってしまう不思議な写真だ。

両者の作品には、時間の経過や自然の変化などが感じられた。入場無料なので、気軽に入れるのもうれしい。展示中は関連イベントも行っているので、参加することでより一層作品を堪能できるだろう。

※施設の利用状況に関してはアーツ前橋のWebサイトをご確認ください

Place

アーツ前橋

体感したり学んだりできる、新しいアートの発信地。現代美術を中心に展示。1階には図書などを閲覧できるスペースやショップ、カフェもあるので、時間をかけて楽しみたい。