おでんのおいしい季節です。
ということは、出し割りもおいしい季節です。
「汁も入れられて、フチにはカラシや柚子胡椒などものせられる」理想のおでん用のうつわを、ろくろ舎(漆器)×もっくもっく(おでん)× kobayashi pottery studio(陶器)× mother tool(ショップ)がコラボしてつくったと聞き、一月前から楽しみにしていた。
私の大好きなもっくもっくで、作家のトークイベントがあるというので、自転車で颯爽と乗り込んだ。「作家同士の静かだけど熱いトークバトル」。そんなイメージをしていたが、ゆるく穏やかな時間が流れていた。なんでも戦いにしてしまうのは、私の悪い癖であろう。
さて、うつわの話だ。
「うつわは『こういう形』という固定概念がある。だから作家が形(デザイン)を提案してあげる」と話すろくろ舎の酒井氏は、地域や使う人のニーズに合わせてうつわをつくる「オンリー椀」という企画を行っている。47都道府県をまわって47椀つくりたいと語る酒井氏は、まるで円空のようだ。そして今回はここ栃木県足利市にある、もっくもっくのおでん用の「オンリー椀」をつくったのだ。デザインは kobayashi pottery studio の小林氏。今回の mother tool のイベントでは kobayashi pottery studio の陶器バージョンもある。
絶妙な色味が魅力的な kobayashi pottery studio のうつわ。使うほど色素が沈着し、さらに色味が進化していく様は、愛でる楽しみのひとつだろう。
ふと私は、自分用の漆器を持っていないことに気づいた。家にあるのは夫の私物だ。自分用のお椀が必要なのではないか。さほどうつわにこだわりのない私だが、味噌汁をご飯茶碗でいただくことをそろそろ終わらせたい。そう思い、クリスマスと誕生日プレゼントと称して「オンリー椀」しました。おでんの前にキホンの味噌汁からはじめました。
最後に、mother tool がセレクトする目線について質問した。
「プロダクトとして自身が良いと思うものを選ぶ。同じ形をつくり続けるということは、とても難しい技術。またそれらをつくる工場が衰退しないでほしいと願う」と話す。
私は何度も mother tool へ足を運んでいるが、改めてその目線で店内をみてみようと思った。

■ろくろ舎
http://rokurosha.jp/
■kobayashi pottery studio
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