【展覧会概要】
川島理一郎(1886-1971)は足利に生まれ、若くしてアメリカに渡って美術を学んだのち、近代美術が花開いた20世紀初めのパリでさらに研鑽を積みました。そこでの川島は、渡仏間もない藤田嗣治と古代ギリシア風の生活を実践するなどして、芸術の源流を探求します。さらにエコール・ド・パリの画家たちや文化人らと交友を結び、サロン・ドートンヌの入選など実績を重ねながら、自身のスタイルを確立していきました。ヨーロッパやアジア諸国、日本国内を旅して描く一方、資生堂意匠部嘱託員時代にはパリの最新モードを本国に伝えるなど、文化の媒介者としての力も発揮しました。
帰国後には、国画創作協会第二部の創立に関わり、自身が主宰する批評会「金曜会」で若き難波田龍起、矢橋六郎、山口薫らを育てるなど、画壇への大きな影響力を持つようになります。太平洋戦争中には従軍画家としての苦難を味わいながらも、戦後は日展や新世紀展などを中心に作品を発表し、その色彩豊かで伸びやかな筆づかいは晩年まで衰えることがなく、作品には描くことの喜びがあふれています。
本展では、川島の60年にわたる画業の展開を、交流のあった芸術家の作品とともに、絵画作品を中心とする約130点によってご紹介します。