【展覧会概要】
2013年に開館した当館は、今年が10周年にあたります。これを記念して、これまで収集してきた作品をまとめて紹介するコレクション展を開催します。当館のコレクションは、開館前に前橋市が収集した作品群と、開館以降、3つの方針(①地域ゆかりの作家を中心とした作品、②美術館の諸活動に関連した作品、③アートの創造力によって地域に貢献できる作品)のもとに収集した作品群からなります。これらの近代・現代美術のコレクションの中から約130点を選出し、身近な静物や人々から始め、風景や世界を経て、宇宙にいたるまでの章を立てて展示します。さらに、こうした幅広い世界や事物を扱う美術館を理解していただく手立てとして、美術館をテーマに、前橋在住のアーティスト、白川昌生に制作を依頼した作品も展示します。
【1階ギャラリーで同時開催】
403architecture [dajiba] / 椅子の場所は決めることができる
本展は市民の力によってさまざまな場や活動が混ざり合う前橋の「現在」に光を当てるリサーチプロジェクトです。3.11以後の新しい世代として注目を集める建築コレクティブ403architecture [dajiba]は、街なかの風景を読み解き、街の人々から借り受けた椅子を使ってそのイメージを美術館内に描き出します。
彼らは街歩きを繰り返す中で、「前橋固有の風景は人々の主体性によって形作られている」と考えるようになりました。そして、このような主体性を表す方法としてこの地で活動する人々から椅子を借り受けることを思いつきます。
なぜ椅子なのでしょうか?椅子は空間に置いて座ることで、身体を特定の場所に固定することができます。市内の至るところから集められた形も色も大きさもバラバラな椅子は、「一人一人の〈ここでやっていこう〉という多様な決意を映しとっている」と彼らは考えたのです。2023年現在、前橋の日々の風景はどのような主体性の集合によって形づくられているのでしょうか?本展は、美術館内に集められた椅子を通して、前橋という都市固有の物語を可視化することを目指しています。