Column
小さな村 7
空は青紫色になりかけていた。モルタルが詰められた植木鉢を地面に埋め込んだという、凸凹とした舗装の上を歩き、ようやく敷地の端の道路との境界までたどり着いた。
空は青紫色になりかけていた。モルタルが詰められた植木鉢を地面に埋め込んだという、凸凹とした舗装の上を歩き、ようやく敷地の端の道路との境界までたどり着いた。
もわもわー(地面)じわー(肌)たらたらたらー ぽたっ(汗)塩味
「そろそろ、行ってみようと思います」私はコーヒーの最後の一口をゆっくりと飲み干し、カップをテーブルに置いた。
以前からSNSで自分がつくった食べ物を載せているからか「料理がお得意なんですか?」なんてたまに訊かれることがある。
番外編が、とうとう本編よりも多くなってしまった。このままこのコラムは横滑りしつづけるのだろうか。いったいどこに向かっていくのだろう。
先日の休みに村上春樹さんとのお仕事などでも有名な、アメリカ文学者の柴田元幸さん訳・編の『アメリカンマスターピース』を読んでいた。
「『ねぎし村』という自分の村を持っていて山羊を飼っている建築家がいますよ」と、TSURUMAUのnachiさんから紹介を受けて、根岸さんと出会った。
コーヒーの香りが微かに漂っている。都会のしゃれたカフェの甘い匂いとは違い、苦みのある深いコーヒーの匂いだ。
前を歩く山羊のおしりからぽろぽろと黒い小さな球体がこぼれ落ちる。山羊が歩きながら糞をするので、その丸い物体をかわしながら、あとについて歩いた。