Column

おいしいバナナケーキを作るには

PEANUTS BAKERY laboratory

先月から考えていたことがあって、それを轟音のネタにしようかなと思っていたけれど先月中には答えが出なかった。2ヶ月かけて自分の中でカタがついてスッキリと解決した。

4年くらいなんとなく続けていたInstagramをやめることにした(ランニング記録だけはしている。たまには投稿するかもしれない)。中毒性があってなかなか難しいのだけど。

ランニングの投稿をするたびに見知らぬランナーたちが画面にたくさん登場するようになってきた。ランナーってポートレートが好きみたいだ。走ってるうちに肯定感が高まってくるんだろうな、みんなのイキイキした顔顔顔……。ウェアもシューズも時計も宣伝みたいに新しいモデルを身につけて……。見ている内に次第に何だかよくわからなくなって混乱してきてしまった。

見ている間に時間がワープしてることにもギクリとすることが増えてきた。……誰かの暮らしぶりにいいねしてる間に部屋がピカピカになったりしていればいいのだけどね。はっとして物干しからはずしたたみかけのタオルや靴下がベッドの上に散乱してるのを目にしたりするとかなしくなる。
 
自分の投稿にもだんだんむかむかしてきた。生活の一部を切り取り「こういうことをしてる自分」を写真に撮り公開するセンスの自作自演行為がださく感じてきた。かっこわるいことはしたくない。

もともと自分の気持ちだったり写真を別に人に見たり知ったりして欲しいわけではないし、他の人の生活にもそこまで関心がそもそもないんだった。思い出した。

中年になり30代より集中力が持続しなくなってきたし、瞬発力にも欠けてきたように感じる。省けるものは省いて好きなことや人だけにもっと深く集中できる環境を自ら作らないと間に合わないかもしれない。

蛍光灯の下、映えないバナナケーキ。でもうまいんだ

この1ヶ月間しつこくバナナケーキを作っていた。6度目くらいでようやくいい具合にどっしりして食べ飽きなくて朝食にもなる自分好みのケーキができた。以前ならば作っては写真を撮り投稿していたが今はしていない。

してもしなくてもケーキの味は変わらないんだよね。

この間メルカリで買ったランニングパンツは最新モデルではなくてもすこぶる足さばきがよくて洗っては毎日履いてる。誰とも話さずに相変わらずひとりで走ってる。一年前と今日の身体の違いはちゃんとわかる。死ぬまで別に誰にもお知らせしなくてもいい。私が私を知ってる。

Creator

PEANUTS BAKERY laboratory 長谷川渚

1980年生まれ、神奈川県秦野市存住。パンを焼き、菓子をつくり、走る人。開業準備中。屋号は幼少期から常に傍らに居続けるSNOOPYのコミックのタイトル、及び秦野市を代表する名産物である落花生から。「laboratory=研究室」というと大袈裟な聞こえ方だけれど、かちっと決めてしまいたくない、常により良さを求めて試行錯誤する場所、自分でありたいという思いを込めて。