Column

勝手に妄想映画館 1

GO ON編集人

勝手に妄想映画館

映画館で映画をみることが好きだ。私の住んでいる街にはたくさんの映画館があったそう。しかし今はひとつしかない。街には閉館した映画館「足利東映プラザ劇場」がある。私は勝手にそこの支配人となり、毎月上映する映画を妄想する日々。この妄想映画館では、そんな支配人が上映する今月の映画を紹介する。

ところで、数年前にカントクが足利市に来たことを覚えているだろうか。そう、助戸公民館だったような。カントクのことが大好きで一緒に写真を撮ったのだが、なぜカントクが足利市に来たのかが思い出せない。それはまるで、カントクが監督した映画作品がなんだったのか思い出せないのと同じように。カントクの作品は「下落合焼とりムービー」をみたことがある。所ジョージが主役で、タモリの密室芸もみられるという、今じゃ考えられないメンツが揃う映画なのだ。物語の内容は、、思い出せない。そういう映画だ。そういえば、カントクも所さんもタモさんもみんな同じサングラスをかけていたような気がする。そうだ、もう一度カントクに会いたいから、今月は「下落合焼とりムービー」を上映しよう。さて、もう1本はどうしようか。カントクの監督作品はこれしか知らない、インターネットで調べるなんてつまらないことはしたくない。仕方がない、ここは「トゥナイト2」。いや、それではダメだろう。これじゃもう「ほとんどビョーキ」。

思い出した、カントクが助戸公民館で話していたことを。美保純が出ていた寅さんの話をしていたような気がする。毎週テレビで寅さんをみているが、3周ぐらいしてようやく寅さんの話の意味がわかってきた。大地貴和子ではなく美保純の話をするあたり、さすがカントク。カントクは現在81歳。「すごいですねぇ」。新作待っています。

カントクのサイン本「カントク記」。一緒に撮影した写真も大切に保存しています。また来てね。

角川映画のアイドル作品の良さに気づく

皆みたことがあるであろう角川映画。市川崑監督の「犬神家の一族」も浅野温子の「スローなブギにしてくれ」も角川映画なわけで。「犬神家~」はMTV状態で流し見をしていることもあるぐらい好きな作品だ。「スローな~」もあとでじっくりと語りたいぐらい。まぁそっちはみるけど、薬師丸ひろ子や原田知世のアイドル作品はいかがなものか?と避けがちに。いつだったかテレビで「セーラー服と機関銃」が放映されていたので、軽く「ながら見」。おやおや、渡瀬恒彦に光石研。おやおや脚本が田中陽造。そして、おやおやラストシーンの良さ!新宿紀伊國屋前でゲリラ撮影なんて、大島渚か。意外にもおやおやの連発であった。

そして駄作だと思ってみた「探偵物語」。「探偵物語」と言ったら「工藤ちゃんの方」を思いつくが工藤ちゃんの要素はゼロだ。物語は、どうでもいい内容だった。ただただかわいい薬師丸ひろ子をみるPVみたいな感じだ。しかし最後の数分が素晴らしい。何度も巻き戻してみてしまう。私は無意味と分かっていながらテレビを写メしたぐらいだ。そのラストシーンをみるために、約100分のどうでもいいシーンをみなくてはいけないという苦行こそあるが、あのラストシーンで受ける胸のトキメキは、他の何にも替えられない。

というわけで、今月は「下落合焼き鳥ムービー」と「探偵物語」に決定。チケットのもぎりは濱マイクの井川遥か、“もぎりさん”片桐はいりにお願いしたい。上映後は、もちろん北仲通りで焼き鳥でも。では、来月もお楽しみに。

足利東映プラザ劇場。映画のセットで使用されていたため、変なレトロ調になってしまった。元に戻してほしい。

追記:五社英雄監督作品を真面目にみたい

ほとんど映画館で映画をみていない2020年。しかし映画館以外でみた作品に新たな発見を。最近テレビでみた五社英雄監督作品の魅力に取り憑かれ、気付いたら土佐弁に。なんとなく知ってはいたが(吉原炎上をテレビでみていた父親とか友近とか)、「鬼龍院花子の生涯」を鑑賞したのは初めてだった。五社英雄監督作品に出ている俳優のイメージは緒形拳だったので仲代達矢が出演していることに新鮮さを感じた。なんというか、仲代達矢の演技をちゃんとみたことがなかったかもしれない。「鬼龍院~」の仲代達矢はキメてるのかな?って思うほどヤバい。ヤバいけど愛おしいというか。しかしあの目で睨まれたら死ぬな。岩下志麻、夏木マリに至っては既に完成されており、子役の仙道敦子から夏目雅子に成長した時には何の違和感も感じず、凛とした美しさは素晴らしかった。年内中に「陽暉楼」「吉原炎上」を真面目に鑑賞したい。

Creator

GO ON編集人 牧田幸恵

栃木県足利市在住。グラフィックデザイナー、タウン情報誌等の編集長を経て2020年12月にGO ONを立ち上げた。