Column

「俺は私立探偵、濱マイク。本名だ。困ったときには、いつでも来なよ」

GO ON編集人

映画『私立探偵 濱マイク』が誕生して30年。現在4Kデジタルリマスター版となって絶賛上映中だ。みんな濱マイク知ってる?知らない方へ、濱マイクの歴史はこんな感じ。

林海象監督による三部作
『我が人生最悪の時』(1994)
『遥かな時代の階段を』(1995)
『罠』(1996)
知ってる人が多そうなTVドラマは2002年

映画は全くみたことがなく、TV版はほぼ全話みていた。

当時TV版の濱マイクは、視聴率は低いけど放送開始から「伝説」って言われてた。エピソードごとに監督が違うし、テレビなのに16mmのフィルムで撮影されていたし、当時の永瀬正敏はほとんど映画にしか出演していなかったからTVドラマに出るのは珍しかった。出演者とか監督とか語り尽くしたいことはたくさんあるけど、今回は映画の話にする。

映画のほうはみてないからイメージなのだが、ハードボイルド色が強くて少し古っぽさを感じていた。

で、ずーっとみたかった映画をようやく。まだ1作だけど、すでにヤラれてしまった。できれば多くの人に映画館でみてほしいので、この場を使ってゴリ押ししたい。

『我が人生最悪の時』(1994)

全編モノクロ。30年前の横浜。
当時の横浜は、ちゃんと汚くて危険で「正しい街」って感じがした。

28歳の永瀬正敏は、カクテルバーの頃だし小泉今日子と結婚する頃。当時の永瀬正敏は50’sっぽい雰囲気がある。ジャームッシュ『ミステリー・トレイン』のイメージかと思い調べたら、ジャームッシュの映画は1989年だった。濱マイク前なのだ。永瀬正敏の50’sは嫌いじゃない。

「野良犬みたい目をしやがって」みたいなセリフが何度か出てくるのだが、その目は若者が持つ純粋な怒りそのもの。

♠︎宍戸錠の登場に敬礼なのだが、やっぱりナンチャン。なぜナンチャン?だけどナンチャンで正解。「濱くん、星野くん」って呼び合うのがいい。この感じはTV版にはないと思う。映画の濱マイクのほうがグッとくる理由は、ナンチャンとの掛け合いにアリとみた。ここは映画をあと2作みて考えたいところ。

そして、エンディングのクレジットをみて声が漏れた。漏れまくり。ホント昔の映画は最後まで気が抜けない。

音楽のクレジットで永瀬正敏の歌の方に目が向いてたのだが、左の視界に菊地成孔という名前がみえた。マジかー!あのオープニングのかっこいいやつ、サックス菊地成孔かー!!

さらに美術監修に木村威夫。『ツィゴイネルワイゼン』じゃん。マジかー!音楽もセットも全てがかっこいいわけだよ。

助監督に行定勲の名もあった。後にTV版で監督する。あと利重剛が出てたけど見落としてる。利重剛の名が出てる映画にハズレなしだと思ってるので、再度チェックしたい。

塚本晋也も最高だ。今年も『野火』の季節なのだが、この頃は『野火』を撮るなんて思ってなかっただろうに。塚本晋也には『時計じかけのオレンジ』に出てきそうな雰囲気があった。塚本晋也も利重剛同様、ハズレなし。

日劇なき今、やはりジャック&ベティでみたい。上映中、横浜へ行けますように。

30年前は中学生だったのか。私が中学生の頃の日本は、まだかっこよかったんだな。懐古厨仕方ないっす。

濱マイク映画三部作は、ぜひ多くの人に映画館で観てほしい!TV版は横浜の映画館ジャック&ベティで上映する。私は行けないのだけれど、行ける人は絶対行ったほうがいい!!特に最終話が最高にかっこいい。ゲストがSIONだからね。上映中ジャック&ベティに通える人は通ってほしいし、なんなら住んだほうがいいと思ってる。

【おまけ】

「愛だろ、愛っ。」

90年代の永瀬正敏といえば、サントリー ザ・カクテルバーのCMでキマリ。未成年だった当時、ジュースみたいなその飲み物に憧れたものだ。今みても、やっぱりかっこいいしおもしろいしカクテルバー飲みたい。復刻をのぞむがYouTubeのコメ欄をみると「クソまずい」って書いてあって笑った。

Creator

GO ON編集人 牧田幸恵

栃木県足利市在住。グラフィックデザイナー、タウン情報誌等の編集長を経て2020年12月にGO ONを立ち上げた。