Column
小さな村 11(最終回)
夢の中の私は、まだ20年前の姿のままで、見覚えのある景色は、以前、夢で見ていたあの村の景色だった。
夢の中の私は、まだ20年前の姿のままで、見覚えのある景色は、以前、夢で見ていたあの村の景色だった。
「ヤギオ」私は背後からの突然の声に驚いて、すぐに後ろを振り返る。そこに立っていたのは、1人の女性だった。
また、夢をみた。私は北関東のとある地にたどり着いた。
夏の強い西日は夕日へと変わり始めていた。空は刻刻と明るさを失い、外の木々が長い影を落としている。掃き出し窓を突き抜けて、地続きに木陰を作り、建物の中と外の境界はなくなっていた。
空は青紫色になりかけていた。モルタルが詰められた植木鉢を地面に埋め込んだという、凸凹とした舗装の上を歩き、ようやく敷地の端の道路との境界までたどり着いた。
もわもわー(地面)じわー(肌)たらたらたらー ぽたっ(汗)塩味
「そろそろ、行ってみようと思います」私はコーヒーの最後の一口をゆっくりと飲み干し、カップをテーブルに置いた。
「『ねぎし村』という自分の村を持っていて山羊を飼っている建築家がいますよ」と、TSURUMAUのnachiさんから紹介を受けて、根岸さんと出会った。
コーヒーの香りが微かに漂っている。都会のしゃれたカフェの甘い匂いとは違い、苦みのある深いコーヒーの匂いだ。