Column
追憶の東京〜地図のような文章〜
番外編 作品に対する論評(あーだこーだの話)
番外編が、とうとう本編よりも多くなってしまった。このままこのコラムは横滑りしつづけるのだろうか。いったいどこに向かっていくのだろう。
番外編が、とうとう本編よりも多くなってしまった。このままこのコラムは横滑りしつづけるのだろうか。いったいどこに向かっていくのだろう。
先日の休みに村上春樹さんとのお仕事などでも有名な、アメリカ文学者の柴田元幸さん訳・編の『アメリカンマスターピース』を読んでいた。
「『ねぎし村』という自分の村を持っていて山羊を飼っている建築家がいますよ」と、TSURUMAUのnachiさんから紹介を受けて、根岸さんと出会った。
コーヒーの香りが微かに漂っている。都会のしゃれたカフェの甘い匂いとは違い、苦みのある深いコーヒーの匂いだ。
前を歩く山羊のおしりからぽろぽろと黒い小さな球体がこぼれ落ちる。山羊が歩きながら糞をするので、その丸い物体をかわしながら、あとについて歩いた。
「かわいいでしょ」私は背後からの突然の声に、びくっと肩が動き、少し遅れて心臓の鼓動が速くなっていくのに気が付いた。
あたりは相変わらず眩しく、顔を前に向けて歩くことができない。少しの間、斜め下を見ながら目に見えない糸に惹かれるようにゆっくりと歩を進めた。
不思議な光景である。光に満ち、気持ちの良い風が通り抜け、動植物が生き生きとしている。私は、北関東のとある地にたどり着いた。