Column

追憶の東京〜地図のような文章〜 再訪編
早稲田〜神保町ほか

サイトウナオミ

MOZZのことを書かなくてはと思っているのだが、なかなか書き始めることができず、今月も〆切の日が近づく。マキタさんと話していて、ポメラ(ポメラについては最後の方に書いています)のことでもいいですよってことなので、東京へ行った話を書いてみる。

2023年1月の終わり頃、久しぶりに東京へ行く(久しぶりと書いたが、正確には昨年の10月に行ったので久しぶりではないのだが)。今回はそんな東京再訪の記録である。

朝8時台のりょうもう号に妻と乗り込む。同じ車両に偶然知合いの一家が乗ってくる。桐生ではよくあることだ。席に座り、すぐに溜まっていた新聞を読みはじめる(1/3〜13までの11日分)。ほとんどの部分を読み飛ばすのだが、11日分もあるとさすがにちょっと疲れる。新聞をゴミ箱に捨てに行き、次はミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の最新号を読んで過ごす。少しうとうとしたりすると、いつのまにか電車は北千住に着く。

最初の目的地は、早稲田の穴八幡宮である。穴八幡宮にはコロナが始まる直前の1月に行ったのが最後になるので、実に3年ぶりである。穴八幡宮では、冬至の日から節分までしか配られない「一陽来復」の御守がある。部屋の柱や壁に貼る御守なのだが、その御守が恵方を向くようにおまつりしなければいけない上に、おまつりするタイミングも、冬至の夜か大晦日の夜か節分の夜の12時丁度におまつりしなければいけないという、いささか決まり事の多い御守である。でも、そういうのがめっぽう好きなのである。

北千住から早稲田へ行くのには、西日暮里などで山手線に乗り換えて高田馬場へ行き、東西線で(もしくは歩いて)早稲田に行くのが一番早いのはわかっているのだが、馬場から早稲田に行くというのは、なんだかちょっと戻るような感じがするのでとても嫌だ。

なので今回は町田から都電荒川線(今は東京さくらトラムなどと呼ばれている)で早稲田まで行くことにした。停留所も多くなかなか時間がかかったが、それなりに車窓を楽しめる。都電を終点の早稲田停留所でおりて、大学周辺の商店街(学生時代もあまり行かないところだったので懐かしくもない)を通り、大学のキャンパスに入る。なんとなくこのあたりにあるだろうなと思っていた村上春樹ライブラリーを発見し、外から拝んでキャンパスを通り抜けて、穴八幡宮に向かう。

いつか中に入ってみたい村上春樹ライブラリー

穴八幡宮は、節分前の最後の日曜日だったので、予想していた通りまあまあの行列ができていた。妻の用事の時間が近づいてきて少しあせったが、ちゃんと並んで御守をゲットして、きちんと参拝もする。一応初詣ということで。

昼食は、本当は早稲田駅近くのメルシーでラーメンを食べたかったのだが、メルシーは日曜定休ということで今回はあきらめ、早稲田通りを歩いて馬場に向かう。MOZZのあった場所の写真をパチリと撮る。もう少し歩くと、えぞ菊があまり並んでいないのを発見し、時間がかなり厳しかったが、ぎりぎりいけるかなと思い入る。そういえば3年前も穴八幡宮とえぞ菊のセットだった。えぞ菊では、僕は定番の味噌バターラーメンを、妻は塩ラーメンを、そしてギョーザを1枚頼む。変わらずに美味い。最高だ。そのまま馬場まで歩いて、妻と別れる。

坂の途中の左側がMOZZの跡地。洒落たカフェになっていた。黒い壁とガラス張りはMOZZの頃から変わらない

僕の次の目的地は、神保町である。神保町への行き方もいくつかあるが、やはり東西線で九段下まで行って半蔵門線に乗り換えて、一駅分乗るというルートが僕の中での正しいルートである(ただ単に早稲田からバイト先に向かうルートというだけであるが)。神保町の駅をおりて、三省堂の方へ歩き、いくつか古本屋に入ったり、店頭のワゴンを覗いたりする。目的の本(『ユリシーズ』3巻セット)は見つからない。その上、なにか思っていたよりも静かである。全体的に開いている古本屋が少ない。昔は、日曜日もほとんどの古本屋がやっていたような気がしたのだが、単なる思い違いか。その変わり、天丼屋に行列ができていたりと昔とは違った風景がある。なんだかさびしい気持ちになったので、すずらん通りの東京堂書店に入る。文学コーナーに行って探していた『村上春樹クロニクル』を購入。

古本屋めぐりはあきらめて、ディスクユニオンを探すが、これも見当たらず、あきらめてお茶の水方面に歩いていく。明大通りも人も車も少なく、どことなくさびしい雰囲気がある。明大通り沿いにようやくディスクユニオンのジャズ館を見つける。久しぶりに大量のジャズのCDを前にして気分が高まる。あまりに久しぶりだったので何を探したらよいか少し悩んだが、今回は、スタン・ゲッツの全盛期のCDを3枚とリチャード・ボナのCDを2枚購入。5枚買っても3,000円くらい。よい買い物をしたような気になり、さらに気分が良くなる。

その後、お茶の水から丸ノ内線で池袋へと移動し、妻と合流する。CAMPERで新しい靴を買い、秋葉原に移動する。ヨドバシカメラでポメラ(デジタルメモ、要するにプリントはできない昔のワープロの小さいやつのようなもの)を物色。今書いているような文章をパソコンで書くのが、いまひとつしっくり来ないような気がして、もう少し手軽な感じで書けないものかと、最近ポメラのことを思い出したのだ。実際見てみると、そもそも結構高い(4万5千円くらいする)。そして思ったよりも大きい。5万円近くも払って使わないとさすがにもったいないなあと思い、今回は見送った。他にも、最近のブームである筋トレのためのシットアップベンチの実物を見たかったのだが、これもなかなか売っていない。他の筋トレグッズはあるのだが。

秋葉原をあとにして、つくばエクスプレスで浅草へ移動。兄に聞いた立ち食い寿司屋に入って、ビールを1杯飲んで、会計を気にしながら2人で寿司をまあまあ満足するくらいに食べ、りょうもう号で桐生に帰ってきた。

いろいろと達成されない想いはあったが、久しぶりになじみの深い場所をたくさん歩けてよかったと想う。

後日談。結局シットアップベンチは、ネットショップで購入して腹筋にいそしんでいる。だが最近は謎の微熱が続き、お休み気味である。ポメラについては、今あらためて見ていたらやっぱり欲しくなってきた。もう少し悩んでみよう。

Creator

サイトウナオミ

地図描き/ふやふや堂店主。群馬県桐生市出身。東京・京都を経て2012年秋より再び桐生市に住む。マップデザイン研究室として雑誌や書籍の地図のデザインをしながら、2014年末より「ちいさな本や ふやふや堂」をはじめる。桐生市本町1・2丁目周辺のまちづくりにも関わり始める。流れに身をまかせている。