Column

暑中お見舞い申し上げます

GO ON編集人

暑中お見舞い申し上げます。
炎暑ことのほかきびしい中、皆様お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。

寒い冬を思い出せば少しは涼しくなるだろうかと思い、2022年2月の回想と7月の今(7月1日)を書き起こしてみました。冬を思い出して少しはひんやり…なんてことは一切なく、汗だくで書いている次第です。なぜ、冬の寒さを思い出せないのでしょうか。何はともあれ、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。

2022年2月某日

いやいや布団から出てきた。

寝ている時から既に顔は冷たく、吐く息は白い。今朝もiPhoneは冷たすぎて電源が落ちている。

毛玉だらけでへたった裏起毛のパーカーを羽織り、エアコンをつけ、電気ポットでお湯を沸かす。トーストもセットしたいところだがブレーカーが落ちるのでやめる。

ガスのスイッチをいれ、37度の湯で洗顔をする。眠気覚ましに水洗顔、と思ってもそんな勇気はない。すかさず化粧水、ホワイトニングクリーム、そして重めの保湿クリームを肌に塗り込み乾燥をバリアする。

水筒にルイボスティーのティーバックをいれてお湯を注ぐ。数分待ち湯飲みに注ぐ。何回飲めるだろうか。色が薄くなるまで飲み倒す。

マグカップに入れた粉末のコーンスープにお湯を注ぎ、スプーンでくるくる混ぜる。スプーンでひと舐めしてから両手でカップを包み込み暖をとる。焦げる寸前の小麦色に日焼けしたトーストをひたひたに浸し、はふはふしながら食べると身体の体温が上昇していくのが分かる。

窓の外は、重い雲が覆う鉛色の空。今にも雪が降りそうだが、降りそうで降らない。そんな中途半端な空の日は一段と寒さが堪えるから嫌いである。

「ピーピー」と洗濯終了の合図。洗濯物を干す手がかじかむ。じんじんと痺れてくる。この天気じゃ今日も乾くはずがない。

かじかむ手をお湯に浸し、じーんとなる。どんどん水温が下がっていくのが分かる。

カシミヤ混のグレージュ色のニットに、デニム。もちろんスパッツは欠かせない。アラン模様の厚手の白い靴下を履き、襟が高めのショート丈のコートを羽織る。ストライプ柄の裏地が気にいっているから、袖を折り返す。髪型が気に入らないけど、ニット帽でなんとか誤魔化す。眉毛さえしっかりしていれば、まぁいっか。こんな寒い日のマスクは防寒にもなるので、まぁいっか。シトラス系の香りをマスクにシュッっと吹きかけ、香りだけでもと春夏を取り込む。

ドシっとしたパンみたいな革靴を履いて玄関のドアを開ける。

手袋をはめながら背中を丸めて階段を降り、そさくさと車に乗り込む。エンジンをかけて「さぁて」と氷のようなハンドルに手をかける。

2022年7月1日

いやいや布団から出てきた。

暑くて目が覚めた。冷却効果のあるという、ひんやりシーツは何の役には立たず汗で湿っている。起きるという選択しかない。

ゴミ捨てにすら出られないペラペラな格好のままエアコンをつけ、冷蔵庫からキンキンに冷えたサンガリアの強炭酸水を口飲みする。喉がヒリヒリして痛くて苦しくなる寸前まで飲む。干からびた身体が生き返るのを感じる。

ガスのスイッチをいれ、37度の湯でシャワーを浴びる。最後は水シャワー。夫のシーブリーズを拝借し、パシャパシャふりかけて目が覚める。一呼吸してから化粧水。ホワイトニングクリームまでが限界で保湿クリームは一瞬で済ませる。夏用の保湿ジェルに買い替えたい。

冷蔵庫からサンガリアの強炭酸水を取り出し水分補給。

プレーンヨーグルトをスルスルと飲むように流し込みながら、夏に於ける「常温」の意味を考える。

窓の外は、夏、蝉。ラジオでは「外出は控えるように」と言っている。

「ピーピー」と洗濯終了の合図。ベランダは既に気温が上昇し、干すという行為だけで汗だくになる。スキンケアで塗ったクリームが流れ落ち、目に入ると滲みる。今日も午前中で乾くはず。

冷蔵庫からサンガリアの強炭酸水を取り出し水分補給。

ゆったりめのTシャツにコットンリネンのロングスカート。汗をかいた時に足にまとわりつく裏地が苦手だが仕方がない。靴下はフットカバー。冷房対策用に足首を覆う薄手のレッグウォーマーは、バッグに入れておく。髪はひとつに結い上げて汗で肌に張り付かないようにする。

冷蔵庫からサンガリアの強炭酸水を取り出し水分補給。

日焼け止め〜化粧下地用日焼け止め〜コンシーラー〜眉毛。汗で流れるので眉毛さえしっかりしていれば、まぁいっか。足の甲に日焼け止めを塗るのを忘れると危険。こんな暑い日のマスクは凶器。

北見のハッカ油を腕と首にシュッと吹きかける。スーッとした清涼感が一気にじんじんとした痛みに変わる。じんじんしとた痛みがひき、スーッと清涼感に変わる瞬間がクセになる。

冷蔵庫からサンガリアの強炭酸水を取り出し水分補給。

ペラペラなTOMSを履いて玄関のドアを開ける。

サンガリアの強炭酸水を飲みながら階段を降り、そっと車のドアに手をかける。エンジンをかけ窓を全開にする。「さぁて」と触れたハンドルは熱々で、手を離した瞬間にシートベルトの金属が肌に触れ火傷した。

Creator

GO ON編集人 牧田幸恵

栃木県足利市在住。グラフィックデザイナー、タウン情報誌等の編集長を経て2020年12月にGO ONを立ち上げた。