Column

勝手に妄想映画館 7

GO ON編集人

2021年8月24日、ザ・ローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツが亡くなった。

熱心なファンではないが『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(監督:マーティン・スコセッシ)』をみて、それまで抱いていた「なんとなく知ってるストーンズのイメージ」が大きく覆された。

公開当時(2008年12月公開)、特に気にしていなかったが周りの音楽好きの方々が「絶対みたほうがいいよ」とゴリ押しだったため、「まぁ、みてみるか」ぐらいの感じで映画館へ向かった。ストーンズと言えば、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの「イカれた老人ロッカー」というイメージしか持っていなかった。当然、映画の節々でイカれた様子を存分に楽しめたが、ずっと気になって追ってしまうのはドラムのチャーリー・ワッツだった。英国紳士的な上品さ、渋さ、そして演奏の力強さ…。1人だけ異彩を放っていて、ぐいぐいと引き込まれてしまった。

この映画をみていなかったら「イカれた老人ロッカー」のまま、チャーリー・ワッツの魅力を知ることはなかっただろう。あの時、ゴリ押ししてくれた方々に感謝している。

ドラム側からの映像も!

そんなことを考えていたら、他にもストーンズのような「レジェンド」の映画をみていることを思い出した。「レジェンド」を掘るなら映画から入る、という手もあるのではないか。

ボブ・ディラン『ノー・ディレクション・ホーム(監督:マーティン・スコセッシ)』(2005年12月公開)。この映画、めちゃくちゃ長かったと思う。調べたら210分!!もちろん寝ただろう。

ボブ・ディランの名前を聞くとオートマチックに、みうらじゅん(MJ)と繋がってしまう。君もそうでしょ。MJがボブ・ディランの息子を京都の三十三間堂に連れて行って「ウィー・アー・ザ・ワールド」って言ったら爆笑された、というエピソードだけ頭に残っているためボブ・ディランをみると「三十三間堂のウィー・アー・ザ・ワールド」になってしまい「レジェンド感」が全くなかった。

しかしこの映画をみて、MJのエピソードは一気に飛んでいった。

イメージを押し付けられるのが大嫌いな人、時代によって音楽のテイストが全く異なる人、過去を振り返らない人、そんな印象を受けた。

この映画をみなかったら、一生「三十三間堂のウィー・アー・ザ・ワールド」で終わったことだろう。危ないところだった。マーティン・スコセッシ監督の「レジェンドもの」は必見なので、ぜひみてほしい。

最後に、マーティン・スコセッシ監督以外の作品を紹介したい。

パティ・スミス『パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ(監督:スティーヴン・セブリング)』(2009年8月公開)。パティ・スミスを11年間密着取材をしたドキュメンタリー映画だ。パティ・スミスに対して女性像をあまり抱いていなかったが(性別を感じさせないから)、映画の中では母であることが映し出されており、はじめて女性として意識した。

私、パティ・スミスのファンなんです。自分の誕生日にワンマンライブへ行ったことがあるんだけど、これ自慢なんだけど、一生忘れない!!

ソニック・ユースのサーストン・ムーアはパティ・スミスに憧れていたけど、キム・ゴードンに出会って「パティを超える女に出会った!」みたいなエピソードがあるのだが、パティ・スミスの名前を聞くとオートマチックにこのことを思い出す。そして、サーストンのせいでソニック・ユースが事実上解散したことに怒りが込み上げ、パティ・スミスを爆音で流し拳を振り上げている。

そういえば、今年は音楽映画が大当たりなのでは?

アメイジング・グレイス、フィシュッマンズ、デヴィッド・バーン、ジョン・ライドン、サマー・オブ・ソウル、ショック・ドゥ・フューチャー…。

全部みたいけど、まだアメイジング・グレイスとフィシュッマンズしかみていない。コロナがなければどこでもみにいけたのに!

あ、アメイジング・グレイスにミック・ジャガーがノリノリでいたけど、隣にチャーリー・ワッツも!あのシーンはちょっと笑ったな。

そんなわけで、今月の映画はもちろん『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』。拳を振り上げながら爆音でみたい!!

追記
2021年8月29日、リー・ペリーが亡くなった。『Disco Devil』が大好きなんだけど、ずっと流してて「アーっ!」って叫んでいました。リー・ペリーは不死身だと思ってたよ…。

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Creator

GO ON編集人 牧田幸恵

栃木県足利市在住。グラフィックデザイナー、タウン情報誌等の編集長を経て2020年12月にGO ONを立ち上げた。