Column

雑煮的雑記 その2

GO ON編集人

16歳の時に「夏嫌い宣言」をしてから四半世紀。しかし、今は大声で叫びたい「夏ってサイコー!!!!」。開放的な気分になる夏だからこそ、自由についての雑記を映画と絡めて書いてみた。

『イージー・ライダー』と自由

タイトルは知ってるけどスルーし続けてきた映画のひとつ『イージー・ライダー』。『午前十時の映画祭』で上映されていたので、映画館でみられるならと思い足を運んだ。
この映画のイメージは長年「ブランキーの『PUNKY BAD HIP』の世界観でしょ」と思っていた「オレ達の国境は地平線さ的な世界」、「オレと仲間とバイクと自由」そんな映画だろうと。もちろん、ブランキー要素も音楽もファッションも映像も(特にLSDをキメてる時に幻覚がみえるシーン)最高だったけど、ラストシーンを見届けて残ったものは「自由って何ですか」という疑問だけだ。

弁護士役のジャック・ニコルソンのセリフ「自由について語ることと、自由でいることは別だ」といった内容のセリフがある。
今の私自身の生活は、概ね自由だと思う。でもその自由にはある程度ルールがあり、そのルールを守りながら自由を保つ。それが一般的な自由だろう。しかし『イージー・ライダー』の主人公やヒッピーたちの自由は、そういったルールがない。前者からみると後者の自由は羨ましい反面、批判したくなる。どちらの自由が強いのか?それはラストシーンが全てを語っているように思う。しかし「本当の自由」についての答えは出ず。

余談だが『イージー・ライダー』をみたあとに『Spectator』の特集「パソコンとヒッピー」を読んだ。自由になるために生まれたはずのパソコンなのに、現在の私たちはそのツールにがんじがらめになって不自由極まりない。ここでも「自由って何ですか」という疑問が残る。

夏といえば、ひこまやの冷やし中華ですよね

『ビーチ・バム』と自由

ハーモニー・コリンの監督最新作ということで、嬉々として映画館へ。事前にDOMMUNEで2夜連続特集が組まれていたので、基本的な情報はインプットしていた。マシュー・マコノヒーが演じる天才詩人のムーンドッグによる「まじめに不真面目」なストーリーだが、この作品にも「自由って何ですか」が含まれている。

DOMMUNEでの情報そして実際に鑑賞して、私の中のテーマは「疲れ切った中年に届けたい、中年ファンタジー」となった。なぜファンタジーなのか?それはムーンドッグをはじめ、映画に出てくる人物の「自由さ」にある。

ところで、「詩人」という肩書きがつくだけで全部OKみたいなところがある。酔いどれ詩人チャールズ・ブコウスキーも同様だ。酔っ払い・下品・女好き・ドラッグなどといったネガティヴワードと詩人という関係性は、私にとっていつまでたっても魅力的である。そして大抵そういった詩人の書く詩は、ロマンティック極まりない。悔しいけど「クソ格好良いなコノヤロー」となる。

さて、映画の話だ。1番の自由さはコロナの無い世界ということに尽きる。酒とか爆音でパーティーとか密とかが遥か彼方へ逝ってしまったこの世の中、そういう世界はもはやファンタジーなのかと思ってしまう。そして何よりもルールのない自由を謳歌していることだろう。前述の『イージー・ライダー』で真面目に考えた「自由って何ですか」なんぞどうでも良くて、「俺は人生をとことん楽しみ尽くしてやる」という考えだ。社会に揉まれて表も裏も分かりきっている中年には染み入るセリフだろう。

「自由でいたい」を前提に生きるのではなく「人生をとことん楽しみ尽くしてやる」を前提に生きていた方が健全かつ幸福な気がしてきた。

そういえば『日曜美術館』の「三島喜美代 命がけで遊ぶ」をみて、深く感動したことを伝えたい。そのタイトル通り「ただおもしろいから」という思いで88歳の今も現役のアーティストとして活動している。一見、腰の曲がったおばあちゃんだが「身体が動かなくなっても頭が動いていれば創作活動はできる。身体が動かなくなって作品がつくれなくなったら現代音楽をつくりたい」と話していた。誰も真似できないだろうな。最高に格好良い!!

ムーンドッグと三島喜美代の言葉って同じだな。
私も人生を楽しみ尽くしてやりたい!命がけで。

夏といえば、ひこまやのところてんも忘れずに

『GO ON』は自由でいたい2021夏

『GO ON』ってそれなりに自由な媒体だと思うんです。最低限のルールはあるけど、みんな自由に書いているし、気になったことは文字数関係なしに取材しますし。だって、おもしろいことはとことん追求したいじゃないですか。5万字インタビューとかやりたいじゃないですか。という考えが、来年の夏も変わらないように、戒めとしてここに残すとしよう。

そして『イージー・ライダー』で砕け散った自由を、『ビーチ・バム』のムーンドッグと三島喜美代の思想で奪い返したいな。「じゃっ夏なんで」。

Creator

GO ON編集人 牧田幸恵

栃木県足利市在住。グラフィックデザイナー、タウン情報誌等の編集長を経て2020年12月にWebマガジン「GO ON」を立ち上げた。