一体どれくらいの人が気付いたのだろう。
キングオブコント2020でのことだった。その日夜勤明けだった私は半分寝てるような状態でテレビを観るでもなく、スマホか何かをいじっていた。
番組がエンディングを迎えたその時、どこからか流れてきた音楽に圧倒的違和感を感じた。最初はスマホの誤作動でYouTubeか何かの音が流れたのかと思ったが、どうやらテレビから流れているらしかった。耳を疑ったが、間違いなくそれはFun Fun AttitudeというバンドのDon’t Say Goodbyeという曲だった。
Fun Fun Attitude、それは90年代に活動していた日本の超マイナーなポップパンクバンドである。
どのくらいマイナーなのかと言われると説明し難いが、とりあえずApple MusicやSpotifyなどの所謂サブスクリプションにはあがっていない。CDも恐らく流通に乗っていないので、今では中古屋やオークションなどでしか入手する術がない。そんなところである。
出会いは私が高校2年の時なので恐らく2005年辺り。auがパケ放題になり、ガラケーを駆使し国内外のパンクの情報を漁っていた頃に出会ったと記憶している。
そこで手に入れた情報はこうだった。
○90年代に数年間活動していた
○最近編集盤が再発された
○現在(2005年当時)はSee Her Tonite(The Damnedですね)として活動中
当時パソコンも所持していなく、YouTubeもまだできたてで機能していなかった時代。聴くには買うしかないのだった。後日東京に行った際、渋谷のディスクユニオンかどこかで購入。家まで待ち切れずに、駅に向かうセンター街を歩きながらポータブルのプレイヤーにセットし再生ボタンを押す。
聴こえてきたのは癖の強い粘っこくハイトーンな声質で吐き捨てるように歌うボーカル、バキバキに歪ませてピッキングハーモニクスをピーピー言わせて鳴るギターが高速エイトビートに乗って畳み掛ける。
一発で虜になった。音質も世間一般的には決して良い音ではないのだが、そのチープさがむしろ心地良かった。
ジャケットも某アミューズメントパークのキャラクターの雑なイラストでどこか小馬鹿にしているし、歌詞はほとんどが失恋の曲。曲名も「I Don’t Mind」とか「Teenage Summer」等、そそるワードの連発。挙げ句の果てに「Fuck You」である。高校生のハートを掴むには充分だった。それからは通学時や授業中、バイトの帰り道、免許を取ってすぐの母親に借りて行った初ドライブの車中等、かなりの頻度で聴いていたように思う。今回テレビから流れてきた時も、一瞬にして15年以上も昔の記憶が走馬灯の様に蘇って来たのだから。
果たして何故、テレビには似つかわしくないこんな曲が2020年のキングオブコントのエンディングで流れたのかは全く謎だが、斯くしてこの日を境に各音源を引っ張りだして過去作を聴き返す日々が始まったのだった。
と、言う訳で初回に相応しい内容なのかは全然わかりませんが、今回はFun Fun Attitude~その後のSee Her Tonite、その他諸々特集です。
Fun Fun Attitude / Soda Days 1995-1997(2004,CD)
冒頭で紹介した、ほぼ全曲を網羅した25曲入り編集盤。
“ほぼ” と言うのは完全後追いの私が所持しているのは自主レーベル Grapefruit Moon Records(トムウェイツ!)から出た再発盤のバージョンなのですが、こちらはオリジナルリリースとは曲数も収録曲も若干異なる内容となっています。キングオブコントで流れた曲は再発盤だと2曲目だけどオリジナル盤では1曲目。おそらく番組のスタッフはオリジナル盤を聴いていて1曲目の印象が強かったのかな、と。
https://youtu.be/6feSogYEiMY
See Her Tonite / It’s All Over Now, Baby Blue(1999,CD)
14曲入り
Fun Fun Attitude解散後、バンド名がSee Her Toniteとなり再始動。と言ってもメンバーが1人変わっただけで前バンドと基本は変わらず、よりエモーショナルにメロディック寄りなサウンドになった印象。
See Her Tonite / Still Crazy After All These Years(2001,CD)
こちらは2ndアルバム。17曲と言うボリューミーな内容ながら粒の揃った楽曲に。ライブで最後に演奏することが多かった名曲M6「The Hottest Season」等、定番となっている曲も多数収録。
See Her Tonite / Soda Days 1997-2002(2004,CD)
Bob Dylanカバー含む21曲
初期のデモやコンピ収録曲等を集めた編集盤。
Fun Fun Attitudeの編集盤の再発盤と同時に出たのかな?初めてライブを観に行ったときに購入した思い出の1枚。ジャケットは完全にFun Fun AttitudeのSoda Daysの使い回しですね。
https://youtu.be/zObqrGZU6ow
See Her Tonite / Could You Be My Little Movie Star?(2007,CD)
編集盤等のリリースはあったものの少し期間を置いてのオリジナルアルバム3枚目。レーベルがそれまでの自主レーベルではなく広島のFixing A Hole Recordsより。
貫禄を感じる素晴らしい出来栄え。リアルタイムで初めて聴けた新作だったというのもあるけど、思い入れの深いアルバム。ラストの曲はバンドの集大成とも言える壮大な感動の大名曲。
12曲入り。
See Her Tonite / Boy, Boy, Girl, Boy, Girl(2009,CD)
レーベルは3rdアルバムに引き続きFixing A Hole Recordsより。
スタジオ録音の音源としては(2020年現在)最新のシングル盤。シンプルな無駄を削ぎ落とした音像に貫禄すら感じられる珠玉の4曲入り。
See Her Tonite / Sine Poser(2009,CDR)
2000年に録音、発売された作品の再発盤。
Van MorrisonやElton Johnカバー、未発表など含む16曲収録のスタジオ一発録り音源。曲解説や当時のフライヤー等を掲載した10pのブックレット付き。
See Her Tonite / Grathrichardrivonrickrobbie(2011,CDR)
6曲入り。
ライブ会場で購入。確か大久保水族館というバーのようなところ。ドラムセットの真後ろにアロワナの水槽があるような謎スポットでした。今もあるのでしょうか。
肝心の内容はと言うと、リハスタとかでMTRか何かで録ったのか、OBLIVIANSを思わせるガレージ感のあるチープな音像となっています。MixもVo佐竹氏とのこと。
そしてこの音源が自分の知る限りSee Her Toniteの最新音源になります。9年前、、。ライブ自体は2017年辺りにフライヤーで見かけたので、いつかひょっこり新作が出ることを密かに期待しています。
https://youtu.be/CIaRLU5dsw4