Column

君カレー、僕カレー。

TSURUMAU

ハウスカレーのイメージが強いのか、
市販のルーを使えば簡単にお家カレーが作れるからなのか、
カレーは家族の食べ物であるという刷り込みがあったりする。

例えルーを使ったカレーでも、
その家庭の母さんのアレンジにより、「〜家のカレー」に変身するのだ。

それは伝統かつ郷愁の味として子ども達の脳裏にインプットされるので、
実家を出て1人暮らしを始めると、その味を懐かしみ求め始めたりする。

「あー、母さんのカレー食べたいなぁ」。

お付き合いし始めた人に自宅でカレーを振る舞うなんてことになると、
女子は些か緊張するもので。

「野菜の切り方はゴロゴロ系?いや、野菜あんまり好きじゃないってことは細々系?…
うちジャワカレー派なんですけど、え?バーモントなの?嘘でしょ?」
とかとか、色んな事を考えながら恐る恐るカレーを彼の前に出すのだ。

だってカレーバックグラウンドの影響力と言ったら計り知れないものなんだから。
世の中の男子は大体が無意識に、母さんを理想の女性として崇めるのだから。

その母さんが、息子達が20歳そこそこに育つまで週1は食卓に出していたカレーの美味しさを、ポッと出の彼女達の作るカレーが一体いつになったら超えられるのか。

いや、別に超える必要なんてなくて、
ニュースタイルお家カレーを植え付けることが出来れば良いのではないですか。

君カレー、僕カレー。

Creator

TSURUMAU nachi

群馬県桐生市出身。15年の東京暮らしを脱して地元桐生市へ2019年にUターン。TSURUMAUの屋号でゲストハウスとスパイスカレー店を運営している。趣味は映画、音楽鑑賞。好きな映画はジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」、ヴィム・ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」。ヴィム・ヴェンダースとは誕生日が同じ。