Column

カレーじゃないポエム

TSURUMAU

また会う君はいつも他人で、

口を開けど言葉が聞こえない。

パクパクパクパク、餌を待つ魚の顔だ。

何を考えているのか、言わずともいつだって分かり合えたのに、今ではもう何も見えない。

息を吸って、吐いて、何度も、何度も。

白い煙で冬がそこにあることを確かめる。

あの日から電車を乗り継いで、乗り継いでは降りて、また乗って。

気づかず遠回りをし続けてきた。

空から見れば滑稽か、優しさなのか、罰なのか。

目では見えなくても、そこに居なくても、触れられなくても、君はこちらを見ているか。

忘れてくれよ、忘れないでよ、どっちだっていいんだよ。

この夢はいつまで続く。

しんと静まりかえる朝焼けの天井よ。

睫毛の間から陽の光と滴、餌を待つ猫の鳴声がする。

温い水を飲む。爪先は冷たく、視界にはまだ靄がかかる。

口を動かせどその感覚はまだ遠く、手繰り寄せるのに時間がかかる。

あー今日も腰が痛い。

Creator

TSURUMAU nachi

群馬県桐生市出身。15年の東京暮らしを脱して地元桐生市へ2019年にUターン。TSURUMAUの屋号でゲストハウスとスパイスカレー店を運営している。趣味は映画、音楽鑑賞。好きな映画はジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」、ヴィム・ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」。ヴィム・ヴェンダースとは誕生日が同じ。