初秋のお楽しみがやってきた。
山々を越え、色付く葉の音を聴きながら、
どんどん進むよ、奥へ、奥へ。
渓流は力強く、サラサラサラより
ザーザーザーと、夜の眠気も吹き飛ぶ音量。
ぽっかり空いて、ゆらゆらゆらと、湯気が消える。
夜は明けた。
閉じた瞼の君はそこへおいで。
わたしはゆくよ、文豪さながら渓流の下へ。
さらに奥へゆくんだよ。
そこかしこ、ピンクの点々散らばるは、芸術家の足跡か。
はて?はて?果て。
理解は求めぬ、感じよ。
見て聴いて、ただ感じよ。
木々の繋ぎ目に振り分けられた数字の羅列。
紺碧の水面に、鋭い赤が差し込む。
冷たい風に香気なきのこが香る。