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私の好きなビル・マーレイ
ビル・マーレイというワードを目にしただけで「みなきゃ」って思うし、当然のように友達から「ビル・マーレイが出るよ」とLINEがくる。
こちら北関東では、毎度お馴染み数ヶ月遅れて映画がやってくる。先日、埼玉県深谷市の深谷シネマで「オン・ザ・ロック」をみた。昨年10月に公開されたので4ヶ月遅れの鑑賞である。
ビル・マーレイとソフィア・コッポラ。この2ワードで「みなきゃ」と思っていた。
そういえば、昨年自粛明け「デッド・ドント・ダイ」をみた。
その時もビル・マーレイとジム・ジャームッシュ、「やっべ、みなきゃ」となった。
なぜそんなにもビル・マーレイに心惹かれるのか。
今まで考えたことがなかったので、期間限定でほぼ毎日ビル・マーレイのことを考えてみた。
まず、ビル・マーレイ作品は何をみたか?最近の作品から遡ってみる。
「オン・ザ・ロック」、「デッド・ドント・ダイ」、「ヴィンセントが教えてくれたこと」、「リミッツ・オブ・コントロール」、「ブロークン・フラワーズ」、「コーヒー&シガレッツ」、「ロスト・イン・トランスレーション」、「恋はデジャ・ブ」、「ゴーストバスターズ1・2」。
なぜ、私が好きそうなウェス・アンダーソン監督作品をみていないのか?謎だ。
私はビル・マーレイ×ジム・ジャームッシュがお好きなようで。
しかし、ジム・ジャームッシュ監督の「リミッツ・オブ・コントロール」と「ブロークン・フラワーズ」に関しては、どんなストーリーだったか全く覚えていない。特に「リミッツ・オブ・コントロール」。ビル・マーレイは出てたかな?「ブロークン・フラワーズ」は当時デートでみにいったのだが「この映画エロいよね」という感想を受け、それから15年近くたったが、いまだにその意味がわからないまま。
タイトルを並べて気づいたが、1番好きな作品は「コーヒー&シガレッツ」だ。
作品自体も好きだが、カフェインジャンキーのウエイター、しかも本人役のビル・マーレイは何度みても笑える。RZAとGZAが「音楽と医学は共通している。DJやっているから手先が器用」みたいな話をしているところに、ビル・マーレイが出てくる。コーヒーポットごとコーヒを飲むビル。色々突っ込まれて「ここにいることは秘密にして」と言う。このビル・マーレイ、おばさんぽくてかわいい。
おばさんぽくてかわいい。
はて、そうするとビル・マーレイはルックスが良いわけではないのか?
いやいや、格好良い。
「恋はデジャ・ブ」「ゴーストバスターズ1・2」の頃、すでに頭髪に問題はあったが、あのヘアースタイルで十分イケてた。
「恋はデジャ・ブ」は深夜テレビで放送していて「きゃー」ってなりながらみたような気がする。「ゴーストバスターズ1・2」に関しては問答無用で格好良い。
おばさんぽくてかわいい“可愛さ”と“面白さ”、頭髪に問題があるのに“イケてる”、それらのバランスが取れているのが魅力的な要因ではないだろうか。
ソフィア・コッポラ作品におけるビル・マーレイ
さて「オン・ザ・ロック」の話だ。
車のウインドウを下げながら登場するビル・マーレイ。それだけでクスッと笑ってしまう。親子関係の物語って、年齢を重ねるごとに現実味を帯びて遠ざけたいのが本心だが、ビル・マーレイが父親役というのは救われる感じがした。そこまで深く感情移入をせず、鑑賞できる。
と思っていたが、やはりグッとくるセリフもあり自分の父親と重ねてしまう。
そういえば意識していなかったが「父と娘」ってソフィア・コッポラ作品に多いのではないか?
花束に顔を埋めるシーンでは可愛さを垣間見、娘を人間と思った瞬間の話をするシーンでは父性を感じ、すぐ女性に声をかけるプレイボーイなシーンでは異性として魅力を感じた。アートディーラーという知的さと怪しさを持つ職業もナイス。サイ・トゥオンブリーなど現代作家の名前が出てくるところも。私も父親とこんなことがしたかったな、と思ってしまう。
「ロスト・イン・トランスレーション」も好きだが、この頃はファッション感覚でソフィア・コッポラ作品を鑑賞していたような気がする。もう一度みなおすと、違った気づきがありそうだ。
この作品もビル・マーレイだから成り立つわけで、違った俳優だったら、ありがちなラブストーリーの括りになってしまいそう。例えば「親子ほど歳の離れたなんちゃら〜」みたいな。ビル・マーレイが出ることで「ありがち」な要素が中和されて、押し付けがましさがなく自然と物語に入っていけそうな気がする。「オン・ザ・ロック」も父親だけど「娘」「父親」の境界線が曖昧な感じがした。そういった「曖昧さ」があると、鑑賞する側の想像力が広がるから私は好きだな。
もちろん、音楽も最高だった。
フェニックスの曲が流れると「春がきたな!」って思うんだけど、私だけかな。
ということで、今月の上映作品は、もちろんビル・マーレイ2本立て!
「恋はデジャ・ブ」と「ヴィンセントが教えてくれたこと」。
「恋はデジャ・ブ」はちゃんとスクーリーンでみたい。そして「ヴィンセントが教えてくれたこと」はとても感動して涙した記憶があるのだが、どんなストーリーだったか忘れているのでもう一度思い出させてほしい、という意味を込めて。
そしてまた今日も、ビル・マーレイのことを考えている。