また会う君はいつも他人で、
口を開けど言葉が聞こえない。
パクパクパクパク、餌を待つ魚の顔だ。
何を考えているのか、言わずともいつだって分かり合えたのに、今ではもう何も見えない。
息を吸って、吐いて、何度も、何度も。
白い煙で冬がそこにあることを確かめる。
あの日から電車を乗り継いで、乗り継いでは降りて、また乗って。
気づかず遠回りをし続けてきた。
空から見れば滑稽か、優しさなのか、罰なのか。
目では見えなくても、そこに居なくても、触れられなくても、君はこちらを見ているか。
忘れてくれよ、忘れないでよ、どっちだっていいんだよ。
この夢はいつまで続く。
しんと静まりかえる朝焼けの天井よ。
睫毛の間から陽の光と滴、餌を待つ猫の鳴声がする。
温い水を飲む。爪先は冷たく、視界にはまだ靄がかかる。
口を動かせどその感覚はまだ遠く、手繰り寄せるのに時間がかかる。
あー今日も腰が痛い。