Column

追憶の東京〜地図のような文章〜
番外編 サステイナブルに生きる

サイトウナオミ

御茶ノ水〜神保町編も終わって、次は早稲田編の予定なのだが、その前に寄り道をしたい。2週にわたって自分でやっているラジオ番組(ロジウラジオ)で話した話題「サステイナブル」について補足的なことを書きたいと思う。

そんな時、Twitterに78歳のミック・ジャガーが腰を振って華麗に踊る映像が流れてきた。78歳になってもこんなにカッコよく踊れるってのも、サステイナブルなことだなぁと思う。

サステイナブルなんてことを書くと、「私、いいことしてますから!(キリッ)」みたいな感じに思われるかもしれないが、そういうことが言いたいわけではない。

そもそも、エコだったりクールビズだったりSDGsだったり、そういうのは嫌いだ。その言葉が示しているものを嫌っているわけではなくて、そういうなんか胡散臭くて金のにおいがして、大きな何かに自分の大切にしているものが吸収されて消費されるのがとても嫌だ。なぜにエコもクールビズもSDGsも、勝手にそれぞれが静かに自分の思うようにやればいいだけなのに、あんなにも無駄に金をかけて、パンフレットやら看板やらなんやかやを作らなくてはならないのか。まったくエコでもなければクールでもなければサステイナブルでもない。やれやれ。

ラジオでも話したのだが、サステイナブルに生きるってことは、何かを無理して「地球にやさしそうなこと」をすることではない。そうすることの方が楽しく、楽で気持ち良いからするってことなんだと思う。そういう観点から、いくつか具体的に書きたいと思う。

(1)炊飯について
炊飯ジャーというものを使わなくなって10年以上経つ。1人暮らしをしていた時に、仕事が忙しいのであまり夕食を作ることに時間を取っていられないなと思い、おいしいご飯があれば、あとはそんなに何もいらないんじゃないかってことで、炊飯用の土鍋を買ったことから始まった。最初は恐る恐る土鍋で炊いていたのだが、だんだん慣れてくると、これが恐ろしく楽なのである(そして美味い)。

30分水に浸けてから中火にかけて湯気が勢いよく出てきて、少し焦げたかなくらいで火を止めれば、あとは蒸すだけ。火をつけてからだいたい15分くらいで終わりである。その間は、みそ汁でも作っていれば良いのだ。これは圧力鍋でやってもだいたい同じ。

「サイトウさん、いやー、それでも炊飯ジャーの方がボタン押せば炊けるんだから、やっぱり楽でしょ」という声が聞こえるのだが、ボタンを押す変わりに火をつけるだけなので、ほぼ同じ。もしボタンを押して炊けるまで寝てたいくらい疲れているのなら、僕は外でラーメンでも食べる。そして土鍋や圧力鍋でご飯を炊き始めた人は、だいたいが炊飯ジャーに戻れなくなる。そのくらい楽で簡単なのである。

10年以上愛用している土鍋。適当にやっても、だいたいうまくいく

(2)コンポストについて
コンポストっていうのは、土の上に箱を置いて、その中に生ゴミをどんどん入れて土にするというものです。ざっくりそういう認識だったのですが、今調べてみたら微生物の働きで分解させるってのが正しいらしいですね。

うちのコンポストは少し壊れて隙間があるからなのか、夏になってくるとムニムニした生物(通称ムニムニ)が出てくる。そいつらが生ゴミを食べて分解してくれているものだとばかり思っていた。だが調べてみたら、虫が湧かないのが正しいコンポストのあり方のようでした。

まぁそれは良いとして、コンポストがあると本当に快適です。野菜の切った端っこや、ちょっと食べ残したもの、ラーメンのつゆなど、なんでもコンポストの中に入れるので、ゴミが生ゴミのにおいで臭くなることが減る。ゴミ袋の中で虫が湧くことがなくなる。ちなみに貝殻は分解されないようなので、貝殻を入れるとそのまま貝塚になって後世の人たちが群馬県にも海があったのか、と勘違いするからやめた方が良いらしい。

もしかしたら壊れているかもしれないコンポスト。なんでも受け入れてくれる

(3)買い物について
インターネットでなんでもすぐに手に入る時代になった。だからこそ「どこで」「何を」買うかということが重要になっているような気がする。

好きな作家やミュージシャンの作品は、やはりきちんとお金を出して中古で無いものを買った方が良いと思う。そしてお店についても、気に入ったお店があるのなら、ちょっと高くても、ちょっと不便でもきちんと利用しないと、お店なんてあっという間になくなってしまう。きちんと利用しないくせに「いいお店だったのにねぇ」と言うのは無しだ。

小さな個人商店をやっている僕からの切実なお願いでもある。そういう観点で僕は数年前から、個人的なものはできるだけインターネットで買わないようにしている。できるだけ自分で出かけてお金を出して買うように心がけている。やはりその方が圧倒的に楽しい。それでも、このあたりでは手に入らないものなどがあるので、そういう時はインターネットの店のお世話になることもある。

今後も取り組める生活改善があればいろいろチャレンジしていきたい。生活が変化するってことは、とても楽しいことだから。

Creator

サイトウナオミ

地図描き/ふやふや堂店主。群馬県桐生市出身。東京・京都を経て2012年秋より再び桐生市に住む。マップデザイン研究室として雑誌や書籍の地図のデザインをしながら、2014年末より「ちいさな本や ふやふや堂」をはじめる。桐生市本町1・2丁目周辺のまちづくりにも関わり始める。流れに身をまかせている。