Column

移動手段を趣味にしました

kobayashi pottery studio

車の免許を取るまでは、主な移動手段は自転車だった。地元(群馬県新田郡尾島町)には公共の交通機関は無く、10代まではどこへ行くにも自転車だった。

太田市周辺は有難いことに、どこへ行くにも平坦な地形で、自転車1つあればどこへでも行くことができる。小学生の頃、東武線太田駅前にあった『ユニー・ベルタウン』へ行くにも、電車を使わず自転車で30〜40分かけて行ったものだ。なぜ電車を使わなかったかというと、1時間に1本しか走ってなく、乗り遅れれば次の電車まで1時間も待たなければいけないので、自転車で行った方が時間を気にせずに済むからだ。まぁ若く、体力もあったのもある。

19歳の夏、夏期講習の合間の週末に何を思ったか自転車で高崎市まで行ったことがある。国道旧354号線をひたすら西へ、当時通っていた予備校まで走った。車の排気ガスを浴び、真夏の日差しを受け、大学受験を前に何も考えず、ひたすらペダルをこいだ。

予備校に着いてふと我にかえると、「この後どうしよう」と途方に暮れる。このまま帰るのもつまらないと思い、高崎市に住む予備校の友人を呼び出した。それから旧群馬町→伊勢崎市の友人宅へ押しかけ、帰宅したのは夜だった。小学生くらいだったらちょっとした真夏の大冒険だが、浪人生がやると、「自分探しの旅」と笑い話にもならない。身体は日に焼け、疲労感とちょっとした達成感を得られた。

今年になって、運動不足解消に何かないかと考えた。そうしたら久しぶりに自転車に乗りたくなった。車の免許を取ってからは、すっかり自転車に乗る機会が無くなった。運動の為ということならロードバイクかなと思ったが、どうせ買うなら運動以外にも楽しめないかと考えた。

新しいロードバイクは折り畳めるので持ち運びに便利!

以前岐阜県の陶磁器メーカー勤務の頃、出張で東京へ行くことがあった。その際時間に余裕があると、街中を散歩していた。しかし歩ける距離には限界があり、「こんな時自転車があれば、もっと色々回れるのにな」と思っていた。
そんなことを思い出し、出先で思い立った時に乗れる自転車がいいなと思った。となると持ち運びに便利な折り畳み式の自転車を購入することにした。サイズ感や走行性能を評価軸に自転車を探した。そしてDAHONというメーカーのK3というモデルの購入を決めた。他メーカーの自転車に比べ走行性能に若干劣る部分はあるが、なんといってもコンパクトで軽量(車重は約8kg)。輪行袋(自転車運搬用のバッグ)に入れれば余裕で電車にも持ち込める。もちろん車にも積むこともできる。そして快適自転車ライフの為に、スマホホルダーに携帯用空気入れに工具などアイテムも揃えた。

スマホホルダーも装備
携帯用空気入れなどの工具も揃えた

自転車は車と違い、その土地の香りや風を感じることができる。気の向くまま思いのままに行動できる。大抵、目的(お店や観光など)があって出かけるが、これからは出かけること自体が目的の1つになる。今はなかなか遠出ができないが、世の中が落ち着いたらこの自転車を持って電車や車で出かけたい。

Creator

kobayashi pottery studio 小林俊介

群馬県太田市出身。美濃焼の産地である岐阜県多治見市で陶芸を学び、陶磁器メーカーでデザイナーとして従事。2018年、地元太田市にてkobayashi pottery studioを設立。「暮らしに寄り添ううつわ」をコンセプトにうつわの製作をしている。