Column

貪で愛の寺業

佐藤一花

今回の煩悩は、6つの根本煩悩である貪(とん)の中の愛(あい)。
貪は、好きなものに対する激しい要求。
愛は、人間の根源的な強く執着・依存し、欲する心。

懲りもせず自身、煩悩にまみれて日々生きている。達観することも無いが、少しでも文化的な時間を過ごしたいと強い執着を持って生きている。

今年の正月より度々、寺に出向くことが多くなった。悟りを求め、瀬戸内寂聴路線か?いや違う、毎度音楽を聴きにいっている。

その場所は、群馬県館林市にある常楽寺。寺で音楽?と思ふ処だろうが、ヤバイベントが次々と開催され、自分の中で地元愛すべきスポットとなっている。

正月のドラム&ディジュリドゥの正月護摩祈祷、上州満月会【春分祭】、常楽寺フリーマーケットと続けて、この寺に行った訳だがどのイベントも個性と自由に溢れていて、現代の私の極楽浄土となっていた。

地元では他愛もない事で村八分に合う事が多いと思い込んでいたが、ここでは全くその様子がない。おじいちゃんや子ども、中学生から音楽好きな輩まで、めちゃくちゃ一緒に楽しんでいる。

何処に住んでいる、どう云う人かなんか関係なく、兎に角垣根のない場所。流石、常に楽しい寺な訳。常楽寺。

巷で行われるフェスや野外イベントは、チケット料金などを取り、それに付随して1日楽しまねば、と自分は貧乏根性が付いて回ることが多い。それと比べると常楽寺はフリーイベントがほとんど、変な気負いなく好きな分だけを選択できる。

この資本主義社会にあって、この差って何なのだろうと毎回思っている。労働の対価の金を叩いて、文化的時間を過ごす事が多いのではないか。平等なんかないぜ、金持っている奴らが一部楽しむ事が今なのだろうか。いや違う、常楽寺には年齢も性別も、仕事何やっているかも考えない、正に「踊らにゃ損々」状態が、仕上がっている様に思ふ。

正月に初めて訪れた時に、池田住職が「この寺を訪れる人が増えたらと思っています」と言っていたのを思い出す。

最初からこんな寺ではないのだろう、その始めって?と思い確認、チャイ屋ヨギーさんがお寺deフィーバーと云うイベントを2020年から主催していた。

それこそ常楽寺が様々な祭りを繰り広げる始め。ヨギーさんにイベントについてお聞きしたら、「自分も楽しむ事を大切にしている。どんな方が来ても楽しんで頂けるように色んな楽しい要素を入れている」との返答だった。

成る程、それも今と似ている訳だと思いスッとした。とはいえ、常楽寺は歴史ある地域の寺、本堂も立派、中の装飾も美しく、幼稚園も運営、年中行事もばっちりな由緒ある場所なのだ。正月は住職の有難い講話だけでなく、人生初背中テンテンをやって貰い、良い気持ちで新年を迎えられ今年の私がある。

チャイ屋ヨギーさんは、皆様御存じ本格派美味しいチャイとカレーを作る方。私も鍋一杯飲めるくらい大好きな本格チャイは絶品である。様々なイベントへ出店する他、フライデーナイトフィーバーと云うイベントも6〜7年主催している。2人の共鳴を経て寛大に、今の環境と形になって行ったのか。

とはいえ、地域のお祭り的、ほっこりどころではなく、音響機材、テント、食事に至る処まで、キレッキレでぬかりない処がまた好きな処。訪れ演奏するアーティストも豪華で、ライブペイントや物販も個性があり、お寺の法要なども入り、いつも他にない祭りが広がっている。

今年の始めより、私が常楽寺に行くきっかけとなった張本人は、佐久麻誠一さん(ドラマーのサクマさん)のドラムを聴きに行く為だった。正月もその次も、山鳴りフェスも、鎮座DOPENESSの対バンで、John Nakayama Duoでのジャズドラムを聴いてから、音のセンスと技術の高さに惹かれ、度々聴きに訪れている。

佐藤一花と佐久麻誠一さん

細かいリズムの重なりが精密機械の様で、どうしてそれに対応できるんかねと云うアドリブも、勿論力強く身体の芯に響くリズムもサクマさんのドラムや関わるありとあらゆるジャンルの音は、自然と身体を揺らし心燃える。

今年に限らず、全国各地もとより海外にまで活動は及び、ひっぱりダコ感相当数のライブをこなしている。所属バンドもジャズからロックから凄い数、正直追いつけないスピードで生息している。

ふとお話してみても、面白あっかるくて、正にスーパー太陽だと思っている。完全に周りに人が集まる方。自分の周りには中々いない位の底抜けの明るさな為、私も毎度寄って行ってしまう。

常楽寺での祭りにいても、太陽系な人達が多く集まっている様に思ふ。普段何処に居てます?な可愛らしきヒッピー達が集うのも個人的に大好きな部分だ。ライブ最前列で踊る子ども、早テクノDJの後ろで激しめブランコ漕ぐ風景、バク上がりDJ傍にじいちゃんとサイケ感あり、でもどこかホッと落ち着く寺に集まり、個人でも楽しみ、また集まり楽しい会話が始まる。

地域、人、音楽、全てに隔たりの無い時間が流れている理想郷。地域の面倒くささや人で囲われていく事も無く、どんどん常楽寺で行われる祭りが多方面に広がりを見せていく予感しかない。

これこそWebマガジンンGO ONのコンセプトに近い、「東京から中途半端に離れたこの街で、新しいカルチャーは生まれないのか」。いやいやここにあったよと思ったのだった。

常に楽しい寺。私もまた楽しみに訪れる。愛。

サクマさんの超宴会「サク祭」が開催
10/7(金)club asia
当日¥3,500+1D前売¥3,000+1D 20:00 OPEN/START
BEATSEX、黒沢次郎(Indus&Rocks)、DOPPELGANGER、JohnNakayamaTrio、Ariwa、スーパージェットキノコ、三根星太郎(犬式)、ヘンタイカメラマン、YOU THE ROCK、空心才楽団、ERIMIYA、Kojiro他出演陣山盛りテンコ盛りです。

常楽寺の毎年法要、柴燈護摩火渡り修行が開催
11/3(木・祝)常楽寺
文字通りの火渡りが目の前で見られる機会。今年は、ライブや催し物も追加される予定もあります。詳細はインスタグラムにて。

佐藤一花

Creator

佐藤一花

1979年群馬県生まれ。文化服装学院卒業後、アパレル生産管理、販売などを経て、現在のオフィスアートレディ活動に至る。イラスト・コラージュ・立体作品を制作。群馬、東京、埼玉など全国各処で展示を開催。