Column

痴で不信のらくがき

佐藤一花

今回の煩悩は、6つの根本煩悩である痴(ち)の中の不信(ふしん)。
痴は、真実がわからない。
不信は、信じない事には何も始まらない。

さて猛烈な環境変化の春を越え、新緑の季節は人間の身体にとって、1番いい時期だそう。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
疲れて、寝込んだりしてないといいのだが。
納期遅れは、屑のする事と生きてきましたが、今回ばかりはハードオフィスレディな為、記憶ぶっとび~ギリのセーフを目指して現在したためております。

早、何回目のコラムでしょうか?
そこそこ、こちらにわたくし本意で身勝手な事を書き始めてから、不思議とお会いしたことなき方に、リアクションを頂くこの上ない機会に遭遇した。
1人は、私が敬愛する暗黒舞踏家の工藤丈輝氏の公演などに携わる方。その方の映像作品はとても素晴らしく、また格好よく尖っていた。
もう1人は、ライター兼アーティストの方。言わば、言葉のプロの方。
恐ろしいなと身震いしましたが、多分な経験値から来る沢山の話と私に突き刺さる言葉を頂きました。

そのお2人に共通していたのが、日本代表グラフィティライターのQP。
3度の飯より、ファッションより、私はQPが好きかも知れない。
もはや、アイドル。象徴である。
渋谷にてイカみたいなグラフィティを見つけたら、それがQちゃんです。
20代の頃より、日本人ライターが好きで、これについてもどこかで書かねばと思っていた訳で(北の国から純的に)。
必然の偶然ながら、QPについて再燃する思いが自分の中で大きくなっていき、故にコレを轟音に残しておきたい気持ちになっていた。

グラフィティでも好きな人は沢山いるのですが、家紋や花押に近い雰囲気、且つPOPさ。
アメリカの様なアレとは、一切別ジャンルの様な設え。

好きなことを信じていると、本人に会える習性を昔から持っている自負はあるのです(川久保玲や町田康など)が、やはり萌えたのは、QPご本人でしょうか。
個展を見に行った時、偶然ご本人様の誕生日に呑む機会に恵まれ、バンド家業の友と大久保の今は亡きTHE GHETTO内の$10000000来音で呑んだのを思い出した。
境遇や経緯をたんと話して少し近くに感じたり、でもベールに包まれる部分だとかは、流石な処で。

なぜグラフィティなのかと質問した時に、QPが「ここしか表現する処がなかったので街に描いている、空を見ると何となくイケる時、そうでない時がわかるので、捕まらない」と言った事。
グラフィティの法的論議は色々あるかと存じますが、論じる奴お前らにそれができるのかよと言いたい処が1番。
マジで人をぶん殴れるかと思えばできない。手が痛いし。
そんな事を遥か超えて体感できる。しかも、自分の表現をタダで全通行人に晒し深めている。
浸透率は、美術館に金払ってくる人達の何倍にもなり、全世代に対してサブリミナルの様に脳裏へ勝手に焼き付いてゆく。

当時、箱モノで見る藝術よりも凄いものなのでは?と信じてやまなかった。
しかも、ド派手にやっている一流のライター達は捕まった事がない人が多く、捕まるのは二流と聞いたので驚いた。勿論、縄張りや住み分けもある世界なのだろうから、きっと下手こいたら危ない世界だと思うのだが。

この世界って凄いじゃ~~ん!超格好良いって思っていた20代。不良。
そこからですね、ZYS、慧数、阿満都、WANTOなどを知り、渋谷タワレコ7Fの隅の隅オセロで大手の角にあった雑誌コーナーでHSM、KAZE magazineを読み漁る女。
そうすると色んな不良自慢みたいな不良達に会え、今となってはとても面白体験に恵まれていた。
EarthDomの裏口から侵入したり、それはそれで余程の不良達は皆優しい訳です、普通に。
もういっその事、「汚いライブハウスから来ました」と2018年紅白のサチモスを引用したくなりだす始末。何故か。

その様に真実は、いかに分からないままでも、信じない事には何も始まらない世界がある。
正に今回の煩悩の世界が、当時の自分の中に無限に広がっていた。
それを序盤に書いたお2人を通して、思い出し、あの時の時間は、今も嘘ではない真実なのだと思い返した。自分の美意識の中の根底なのかも。
可愛い女がメンズ服着て、「おっさん服」と言ってるのとは訳が違うと思うております。
急にどうした?の例え。本気のおっさんに失礼。

QPが描くQちゃんは、最初▲部分が無かったものが、屋根をのせてあげてアノ子が完成したそうで。こちらは、本気の可愛い。

少し自分の中でコラムを書いて嬉しい出来事。変化である。
現実の世知辛い人間関係よりも、この出会いを信じる事で、自分の中で何か始まるのかと言う思い。
だけど、「僕らは」っていう表現が嫌いで、「私」か「俺」がいい。
自分本意を信じれば、簡単に何か始まるのも真実。
頂いた言葉を最後に、「異端の中に真実があり、異端にしか革命を起せない」。
刺青にして彫りたい位、良い言葉。詳しくは、また別で。

佐藤一花

Creator

佐藤一花

1979年群馬県生まれ。文化服装学院卒業後、アパレル生産管理、販売などを経て、現在のオフィスアートレディ活動に至る。イラスト・コラージュ・立体作品を制作。群馬、東京、埼玉など全国各処で展示を開催。