詳しく勉強をしているわけではないが、伝統芸能をみることが好きだ。特に神楽が好きで、物語がよく分からなくても世界に引き込まれてしまう。興味を持ったきっかけは、数年前に織姫神社の秋季例大祭でみた神楽である。みていたら楽しくなってきて、終わった後にひょっとこに声をかけていた。とにかく、衣装も音楽も踊りも全てがかっこいい。私は昨年から足利雷電神社大和流神代神楽保存会へ入っていて、太鼓を練習している。今月の春季例大祭に向けて昨年の9月から練習をはじめたのだ。と同時に、神楽練習日記も書き始めた。本番まで後少し。みんなに神楽をみてほしいので、私の練習日記をちょい見せしたい。
足利雷電神社春季例大祭
日付:令和6年4月28日(日曜日)
時間:午前10時から午後2時頃まで(随時)
場所:足利雷電神社(本城1丁目)
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2024/3/22 神楽練習日記
太鼓で苦手なのが〈ひょっとこ〉と〈終わり〉。〈終わり〉というのは神楽の一幕(一つの舞)が終わる時の叩き方。もちろん〈はじめ〉もある。これらはどの舞でも一緒。〈終わり〉はテコマン テケスクス テコマンテン ドン。〈神楽拍子〉はテコマンテン テケス テケスクス。口に出してやるようにと注意される。〈ひょっとこ〉はドドンガドン ドドンガドン ドドンガドン ドンドンドンドン トコトッコ トッコ トッコ。トコトッコが難しくて何回も教えてもらった。それがやっと形になってきた!会長にも褒められたのでうれしかった。しかし師匠には「まだまだ」という顔をされたけれど……。「手首がまだかたい」と注意される。特に左手首。
最近気づいたのだが、舞が入るとリズムが分かる。例えば三拍子の舞、太鼓のドンの音でかかとを下ろす。ダンスなどをやったことがないので、はじめて音と踊りが繋がっていることに気がついた。太鼓は鼓の音に合わせて叩くし、鼓は笛に合わせて叩く。そして音に合わせて舞う。〈ひょっとこ〉の時に、「跳ねるように叩いて」と言われて分からなかったが、JJ(爺様)が少し舞うのをみて意味が分かった。そうしたら苦手だった〈ひょっとこ〉が叩けたのだ。〈ひょっとこ〉は、はじめはゆっくりの〈神楽拍子〉(ひょっとこがゆっくりと出てくる)、その後、鈴を持って踊る。その時に跳ねるようなドドンガドンになる。ちなみに、ひょっとこのJJは4月になったら練習に来ると言っていた。早く来てほしい!
土曜は師匠が来られないから休みになった。舞まで辿り着くには何年かかるのか……。帰宅後20年近く前の神楽のDVDをみてイメトレした。会長も師匠も皆若かった。そして気づいたら寝ていた。祭りはもうすぐ。めずらしくおしゃべりが少ない練習日だった。
2024/3/29 神楽練習日記
私は神楽の登場人物の中で白狐が一番好きなのだが、今日は練習で白狐の舞がみれた!このJJが白狐だったのか〜。お似合いです。ちょっと色気もある。動きが軽やかでぴょんぴょん跳ねる。「白狐が出てくるとアガります」と言ったら笑ってた。白狐は女性に人気だそう。多分、他の人物より不良っぽいからだと思う。JJは白狐をやって30年とのこと。皆、ひとつの役をずっとやり続けるタイプなのか?白狐はつがいだから女の面があると教えてくれた。一緒に白狐をやれたらいいな。来年、白狐を教えてもらおうかな。
〈ひょっとこ〉の太鼓は私が打つとドンがひとつ足りないっぽい。うーむ。
2024/3/30 神楽練習日記
今日の練習はハードだった。「正座しろ、左手が弱い」と注意される。何よりも正座がしんどい。21ある演目のうち、交代で太鼓をやっていく流れになるみたいだ。
途中、入口から「うぃ〜す」とテンション高めのJJが登場。すると、皆笑顔になって和やかな雰囲気になった。師匠が「あいつがひょっとこだよ。ひょっとこみたいな顔だろ」と言った。ひょっとこJJは、ひょっとこと白狐を舞っていた。軽やかなステップ、そして神様に拝む時の足の上げ方が高くて逆立ちをしているみたいだ。私はあんなに上がらないよ。舞っている時はニコニコしていて楽しそう。ふと気付いたのだが、演じる面と本人の顔が似ている。ひょっとこJJはひょっとこだし、白狐は狐顔、翁は好々爺。おもしろいな!!
皆、何十年も一緒に神楽をやっているんだよね。いつもより和やかで楽しそうだから、練習はキツかったけど参加してよかった。来週も練習だ。
2024/4/5・6 神楽練習日記
いよいよ今月が祭り。練習は残り5回だ。そういえば、どんなタイムテーブルになっているのか不明だったので会長に質問した。すると岩戸が開いて神様が出てきたら、その後の順番は自由だと話していた。客と一緒に盛り上がる鯛釣りやひょっとこは、客が多い時を見計らってやるらしい。
金曜はひょっとこJJが来ないのだが、土曜は来た。地元一のひょっとこはスナックでも踊るらしい。思わず食い気味に「どこのスナックにいるんですか?」と聞いたら「20年前の話だよ」とはぐらかされた。オフシーズンのひょっとこが気になる。
土曜はオールスター勢揃い。全部で9名。この人数で本番を迎えるのだろうか。もうちょっといたような気がするけれど。土曜は、JJたちも鼓と太鼓を練習しないと忘れちゃうからと言って練習をしたので、しばし楽と舞を見学した。叩き方にメリハリがあって、私とは違うなと思った。
薄女という舞があって初めてみたのだが、女だから動く幅が小さいと教えてもらった。ひょっとこが出る刀鍛冶の舞。面をつけていなくてもみんな面の顔。私はどうしても打つ数がひとつ足らないので練習せねば。
日曜に久しぶりに雷電神社へ桜をみに行った。神楽殿をみて「ここに上がるのかぁ」と感慨深い気持ちになった。そして「もうみんな歳だから、今のうちに教わらないとダメだよ」と会長に言われたことを思い出した。焦るけどひとつずつやるしかない。次年度は鼓を練習したい。舞は白狐をやりたいけど、そんなに覚えられるだろうか。まずは今月の祭りを楽しみたい!