Column

編集後記

GO ON編集人

大病を患ったことのある私は、「どう生きるか」ということより「どう死ぬか」ということを念頭において生きている。現在も治療中で常に再発の恐怖と隣り合わせだ。

心身ともにキツい治療中、嫌でも考えさせられたことがQOL=Quality of lifeである。生活の質、生命の質などと訳されるが、私は常に「どう死ぬか」ということを考えていた。結局、死に方から逆算すると「どう生きるか」に繋がるので、生き方と死に方は紙一重だと思っている。

私がGO ONを立ち上げたきっかけは「雑誌をつくりたい」という理由だが、それは表向きで、本音は「生きていた痕跡を残したい」ということである。〈死ぬまでにやりたい100のこと〉といったものがあるが、やりたいことを100個やって死ぬより、自分が生きた痕跡をひとつでいいから残したい、というのが私の理想である。その理想を実現するためにGO ONをやっているのだ。

Webマガジンにした理由は、例え病が再発してくたばったとしても、キーボードで文字を打つことはできるだろうと考えたからだ。しかし、大事なことを忘れていた。私が死んだらサーバー代を払う人がいないので、死と同時にWebマガジンGO ONは閉鎖されてしまう。それでは生きた痕跡が残らないではないか!ということで紙版をスタートした。印刷物としてこの世に流通させれば、私が死んでサーバー代を払えなくなっても残る。

しかしWebと紙を両立させるには将来性を感じず、今年思い切ってWebマガジンを閉鎖することにした。サーバー代が払えなくなって突然終わるよりいいと思う。

Webをやめて紙だなんて時代に逆行してますね、なんて言われたけれど実はそんなことはどうでも良く、私の死に方の都合に合わせただけだ。

生きていた痕跡を残して死ぬために、死ぬまでGO ONを続けたい。

今号でWebマガジンGO ONの連載は終了し12月末には完全に閉鎖するけれど、今後も形を変えて続けていくので、引き続きよろしくお願いします!

Creator

GO ON編集人 牧田幸恵

栃木県足利市在住。グラフィックデザイナー、タウン情報誌等の編集長を経て2020年12月にGO ONを立ち上げた。