Column

与良マンガ道場 4

与良典悟

<その1>

我が家では晩ごはんの時に色々な話をします。その日の天気の事、仕事の事、週末の予定など、家族にとって必要な時間です。

父の話す話題の1つは、ラジオから流れてきた日々の音楽について。洋邦問わず新しい音楽を楽しみにしているようで「こんな曲が良かったよ」なんて報告をしてくれるのです。

その日の話題は『Yo La Tengo』のことで、おそらく新しいアルバムからの1曲をラジオで聴いたのだろうと思うのですが、そんな事は私の頭に入らず、ついに『与良典悟』のSNSがバレたのかと最初は気が気じゃありませんでした。

GO ONでの活動の事も含めて、絵や文章をSNSに挙げていることを、家族には何も話していません。「話さない方がネタになるだろう」とかその程度の理由ですが、いつか話すのかなと思うとなんだか緊張しますね。いつかは来るであろうその日が楽しみでもあります。誰しも会話の中で思ってもいない単語や話題が出ると驚くものです。そんなお話でした。

ちなみに無いとは思いますが、食卓で『殺害塩化ビニールのバカ社長』とかそういう単語が父の口から出たら卒倒するでしょうね。パンクはそんなに好きそうじゃないから、とりあえず大丈夫でしょうけど。Yo La Tengoは色々な音楽に繋がるから、要注意なのです。

<その2>

レコードやCD、カセットには寿命というものがあります。レコードは保存状態さえ良ければず~っと持ちますが、傷が付いたらそれは一生消えずにノイズとなります。カビやレコード自体の変形も怖い。CDは一般的に50年は持つと言われていますが、それ以降は音質が落ちたり、聴けなくなってしまうそうです。

さて、カセットは上の2つとは少し違って、寿命がやや短いようです。1千回だか1万回だか忘れましたがそれしか聴けないようです。テープが切れたり絡まったりしないよう気を付ける必要もあります。保存性で言ったら少し不便ですね。

でもテープが切れるほど聴いたのなら、それは作品を愛した一種の勲章になるかもしれませんね。ちっちゃくてかわいいカセットというメディア、扱うときは是非とも丁寧に扱ってあげてほしいですね。

ちなみに音楽メディアの寿命の話で、個人的に一番怖いのは、フリッパーズ・ギターの『ヘッド博士の世界塔』がいつか聴けなくなる日が来るのではという話ですね。あれは現在も中古市場を探せばCDが一定数出回っているのですが、サンプリング元の権利問題とかで再発が非常に難しいようです。

発売が1991年なので、2041年ごろから聴けなくなる世界塔CDが出てくるわけです。最近ブックオフとか行っても、ただでさえそのCDが見つけられなくなっていますからね。かといってレコード相場は10万円を超えそうですし。

フリッパーズ・ギターのファンは心のどこかで恐々としているかもしれませんね。世界塔のレコードが崇められる日が来るのも近い?

Creator

与良典悟

栃木県佐野市在住。知らない町の知らないレコード屋さんに行くのが好きです。