Column

気になる芸人2023

ボンジュール古本

前口上
ここ最近ライブで見て気になった芸人の事を書いておく極私的メモとしてこの場を借ります。私の遊び場、GO ON。

〈TCクラクション〉
昨年、M-1GPの2回戦を見に行った時に初めて見たコンビ。M-1GPには7,000組以上がエントリーしており、その全ての組の予選が行われる。とても有名な芸人ですら、昨年ファイナリストになった等のシード権を獲得していなければ、1回戦からの参加となる。当然、今後に期待という芸人がほとんどだが、TCクラクションの漫才はとても笑ったのでよく覚えている。

芸能プロダクションのグレープカンパニー所属で(サンドイッチマン、ランジャタイ等もここ)私は勝手にグレープの秘蔵っ子と呼んでいる。ライブの場数も多く、着実にネタを磨いている彼らをチェックしていきたい。

〈牛女(うしおんな)〉
いくら暇な私でも、見たいお笑いライブに好きな時に好きなだけ行けるわけではない。大人の遊びは厳選しなければならないのだ。しかしながら、行く予定のないお笑いライブだったとしても、スケジュールを眺めているだけでも楽しかったりする。

「この芸人の組み合わせ最高だなあ」
「こんな劇場があるのか。今度行ってみよう」…

その昔、雑誌のチケットぴあをパラパラめくり、ライブハウスってこんなにたくさんあるのかと驚き、知らない映画のタイトルを見てどんなストーリーかと想像した。それだけでも、楽しかった覚えがある。今はそれがインターネットになっただけのことで、やってる事は変わっていない。大人になってもまだこれをやってるとは、どう考えても暇な人だと思う。

牛女は、ライブのポスターで名前をしょっちゅう見かけていて気になっていた。先月、見に行ったライブに彼らも出演していて2本ネタを披露し、面白かった。とても気になったので後日再度見に行ったが、やはりおもしろかった。見たネタ全て笑えるのは凄いことなのだ。ただ声が少し小さかったのが惜しくて、普段は書かないが芸人への感想等を書くアンケート用紙に「聞こえにくいところがあったので、ネタの時は声を張って欲しい」と書いてしまった。

これってうざいファンですか?

〈や団〉
結成してから10年以上は経っているが、昨年2022年キングオブコント3位という結果を残し、今トリオのコントを見るならダントツにや団がおもしろいと思っている。設定やシチュエーション、言葉使い、セリフの強弱など、長年コントを作り続けてきた人の作るネタは、日常から起こりそうなドラマに違和感がない。ロングサイズ伊藤さんの演技が大変に上手で、一言でグッと引き込まれてしまう。

ネタを作る本間さんのツッコミが小気味いい。短く的確なツッコミは同じ事務所に所属する先輩、バイきんぐ小峠さんを彷彿させ、とても影響を受けているのではないかと思ったりする。

今回挙げたのは特に気になる3組だが、またさらなる芸人が現れたらメモしていきたい。このコンビ、3年前と比べると最近は様子が違うなとか、人もネタも変わり続けるので、長い目で見てできるだけ応援していきたいと思う。

数年前の小さな劇場で見るライブには大抵、錦鯉が出ていた。また出てるよ~と思いつつ、ネタは必ず爆笑していた。あんなに飽きるほど見たのに、もう地下劇場に出ることはないのかなと思うと、今となっては恋しさすら感じる。

こいだけに。

〈THE SECOND 〉
ついに5/20に決勝が行われるこの大会、ファイナリスト8組が決定した。誰が優勝しても嬉しいが、このコンビだったら最上級に祝福したいコンビを、勝手な主観と独断と偏見で述べたい。

⚪︎スピードワゴン…8組の中で最も優勝したいとか思ってなさそうに見える。たまたま勝ったらここまできちゃったんだよねーと、小沢さんがしれっと言うのが聞こえてきそうだ。麻雀大好きな小沢さんだって、強い人が初心者に負ける事は当然にある。ただ、ここで優勝したら一種の上がりというかスピードワゴンとしての一区切り、になるような気がする。そして何事もなかったように、小沢さんは今までもこれからも、ずっと麻雀を楽しく打ち続ける、じゃなくて漫才を続けるだろう。

⚪︎マシンガンズ…20年以上ずっとずっと知らない誰かの文句を言い続けた結果、こんな大舞台に立つことになるなんて。そして、たまりに溜まった愚痴をゴールデンタイムにぶちまけて、すっきりして欲しい。ヤフー知恵袋のことを「知らねえバカの質問を知らねえバカが答えるクソのような場所」と生放送で叫んだら、知らねえバカのような私は、超すっきりする。

⚪︎囲碁将棋…西も東も全芸人が憧れる、私の中で<漫才師>といえば囲碁将棋だ。こんなに笑えて上手くてよく練られた伝統芸能のようなネタで、賞レースを何も獲得してないことがむしろ引き立ち、ネタにもマイナスな部分や落ち度がなさ過ぎて完璧な漫才マシーン。優勝して謙虚に「賞レースが全てではないです」とかもし言われたら、リアルに痺れてひれ伏してしまいそう。2人とも長身でスタイル良いので、舞台映えして華やかさもある。

え、そこ?そこもです。

⚪︎金属バット…前回述べたが、昨年からフラグが立ちまくっているので、優勝したら1番ドラマティックなコンビだと思う。大阪の一部だけでウケていた2人が、5年前のM-1敗者復活戦に突如全国放送に現れ、今やライブをすれば満席、芸人なら出演を憧れるテレビ番組アメトーークのオファーを面倒だと断り、営業ではひっぱりだことなった。大阪にはこんなにイカれたおもしろい芸人がいるのだと衝撃だった。カウンターカルチャーとメインが入り交じり、人の数だけコンテンツも膨大に増え、ボーダーラインも曖昧になった良い例だと思う。外見もネタも核爆弾のようで、アウトローでふざけていて、初めて見た時からずっと惹かれ続けている。

THE SECONDの初戦は、東京ダイナマイトの体調不良により不戦勝だった。そこで披露したネタはダイナマイトのネタのパクりだった。これがリスペクト以外の何だろうか?彼らは平場(普通のおしゃべりの場面)でも終始ボケ続けていて、私はそこが大好きなのだ。どのコンビも決勝進出が決定した途端、嬉しいとか全力で取り組みますとか話しているのに、友保さんはダブルピースを前後に出しながら「M-1はクソですわ!」と言ってて心底笑った。

賞レースの大舞台の金属バットを見る、想像するだけでドキドキするが「決勝当日、行けたら行きますわー」と言っていたので、来てくれるといいなーと思う。