Column

90年代におけるメインストリームとはなんだったのか?

BEDROOM RECORDS

90年代におけるメインストリームとはなんだったのか?

様々な状況下に置いてたくさんのカルチャーが生まれる昨今。
たくさんの人に衝撃を与え、そしてたくさんの人の記憶の中に存在している90年代のメインカルチャーの中心的人物、それが「マコーレー・カルキン」という人物だ。よく知らない人でも名前だけは聞いたことがあるのではないだろうか?

マコーレー・カルキンは現在でも世界中の人々に愛されている名作『ホーム・アローン』の主役を演じた当時、世界一有名な子役としてここ日本でも一世風靡した人物だ。その愛くるしい笑顔とコミカルな演技が人気を博しその時代のひとつのアイコンとなった。
マコーレー・カルキンの人生を愛くるしく語るのは簡単だ。
だって彼の人生こそが「映画」だから。

彼の人生を紐解いていくには、まず「90年代」だろう。
あの時代の煌びやかでバブリーな時代だからこそつくることのできた商業的映画やVHS時代につくられた星の数ほどある低予算のクソB級映画も、あの時代だからこそつくりえた代物なのである。
『ホーム・アローン』のようなファミリー向けの大衆映画がヒットした要因は、決してこの映画が「新しい映画」ではなかったということだ。子どもが大人をやっつけるという構図は決して新しいものではなく、70年代・80年代でも同じ様なシチュエーションムービーはたくさんあった訳だ。

ではなぜ『ホーム・アローン』が世界中でヒットし、今なお愛されているのかは言わずと知れた本編の主人公マコーレー・カルキンという、1人の少年のカリスマ性がその時から健在していたからだろう。

そんな90年代のムーブメントをつくりあげたマコーレー・カルキンの壮絶なる人生を紹介しよう。
今でもクリスマスムービーとして、お茶の間に笑いを届けているコメディ映画の名作『ホーム・アローン』は90年に公開し、世界中で大ヒットに!92年には『ホーム・アローン2』が公開され、それもたちまち世界中で大ヒットを記録した。子役時代最後に出演した『リッチー・リッチ』では当時の子役では破格の800万ドルが支払われていた。

子役としては破格のギャラを貰っていたとされるマコーレー、そんな彼の人生は決して順風満帆ではなかった。
金がたくさん生まれる所に大人は群がる。
多額のギャラを巡って両親が離婚。
そして、金を巡って父と母が裁判を起こす騒ぎまで発展する。
裁判は泥沼化し、マコーレーは俳優業を一時休業するはめになる。
名声と引き換えに失った物も多くそのまま子役を引退。
マコーレーの子ども時代は、このように悲惨なものになってしまい彼はその後、道を踏み外して行く。

その後、17歳で結婚そして19歳で離婚。わずか2年の結婚生活は世間からも、冷た目で見られるようになる。

00年ハーモニー・コリン、そしてソニック・ユースとの共演

ソニック・ユース『Sunday』のPVに出演。監督を務めたのは、当時神童として世間を賑わせていたハーモニー・コリン(KIDS/キッズ脚本、ガンモ監督・脚本)。ハーモニー・コリンが当時落ちぶれていたマコーレー・カルキンを採用したのが興味深い。このPVに出ているマコーレーはどこか寂しそうな表情をしていて、輝かしかった90年代を忘れられない様な表情は、今の自分達が見ると少し悲しく思える。

03年公開『パーティモンスター』に出演

90年代初頭にニューヨークを舞台にパーティーモンスターと呼ばれていたハチャメチャなクラブDisco 2000のクラブマネージャー、マイケル・アリグの半生を描いた本作は酒にセックス、そしてドラッグに溺れていく様を描いている。マコーレーはマイケル・アリグを演じた。ヒットはしなかったものの現在でもカルト的な人気を博している。
この映画とマコーレー自身の生活がリンクしている様な気がして、妙にリアリティのある演技がこの映画の肝になっている。どんどん主人公が落ちていく様は正にマコーレー自身を投影しているのではないか。

その後マコーレー自身も酒とドラッグに溺れていくことになる。

メディアに全く出ることの無くなったマコーレーは12年に重度のヘロイン中毒になり、激やせした老人のような姿で余命半年と宣告されたことを報じられた。

マコーレー・カルキン34歳、奇跡の復活を果たす!

12年にバンド、ピザ・アンダーグラウンドを結成。
世間に衝撃(笑撃)を与える。

ピザ・アンダーグランドはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの楽曲の歌詞を全てピザの内容にしたパロディバンドで、マコーレーはバンドでボーカルとパーカッションを担当している。
サウンドはヘロヘロなローファイサウンドに、やる気があるのかないのかわからない無機質なライブパフォーマンスで人気を博した。時にはライブ中に演奏が下手すぎるという理由で暴動騒ぎが起きたり、ただマコーレーが無言でピザだけを食べている謎動画をYouTubeにアップしたりと、何かと話題が欠かせないバンドになった。
マコーレー・カルキン34歳の脳内で駆け巡る、初期衝動のようなものを感じた。
ガイデッド・バイ・ヴォイシズ、タイムズ・ニュー・ヴァイキング、そしてダニエル・ジョンストン好きには堪らないだろう。(ライブやPVはYouTubeで観覧できるので気になる方はチェック!)

アメリカ出身のシンガーソングライター、ファーザー・ジョン・ミスティの『Total Entertainment Forever』のPVに出演。マコーレーはカート・コバーンを演じている。
マコーレーが十字架に磔になる姿は最高なのでこれも要チェック!!

カート・コバーンはドラッグや求めていた以上の人気によって押し潰され自ら命を絶ってしまったが、マコーレーもカート・コバーンと同じ道を辿っていてもおかしくないと思う。グランジという新たなるジャンルを確立したカート、世界中のキッズ達を熱狂させ、またマコーレーも熱狂したうちの1人だ。マコーレーもニルヴァーナの音楽によって救われたのだとしたら天国のカート・コバーンも笑っている事だろう。

https://youtu.be/eHpV08wI-bw

そして改名へ・・・

19年に出演したトーク番組でミドルネームを改名する事を発表し、その候補を投票で決める事になる。

○名前の候補一覧
シャーク・ウイーク(ディスカバリーチャンネルのサメ特集のこと)
キーラン(弟の名前)
ザ・マックリブ・イズ・バック(マクドナルドのバーガー、マックリブが復活したという意味)
パブリシティー・スタント(売名のこと)
マコーレー・カルキン

その結果ダントツでなんとマコーレー・カルキンが選ばれてしまい名前が、、、
「マコーレー・マコーレー・カルキン・カルキン」になってしまう。
世間にまたもや衝撃を与え、我々90年代世代は歓喜に震えた。

そして現在、40歳になったマコーレー・マコーレー・カルキン・カルキンは、『ホーム・アローン』のケビンを26年ぶりに再演したり、クソゲーを紹介する番組『ジ・アングリー・ビデオゲーム・ナード』でクソゲーに認定されている『ホーム・アローン』のゲームをマコーレー・カルキン本人がプレイして話題になったり、ディズニーが『ホーム・アローン』のリメイク作品の制作発表を行ったことを受けて、Twitterで主人公の少年の現在の姿として自身の写真を公開したり、マイケル・ジャクソンとずっと仲が良かったりと、結局彼は子役時代からずっと変わらず、愛くるしいままの「少年」マコーレー・カルキンなのだと気がついた。

そんな波乱万丈な人生を送っている彼だが、やはり『ホーム・アローン』で演じたケビンを思い出してしまい、何かと憎めない存在である。BEDROOM RECORDSの2人も小さい頃からホームアローンシリーズは何度もみている。今年のクリスマスもきっとみる事になるだろう。

僕個人として、今映画界で中心になりつつあるマーベル映画のヴィランをマコーレーに演じて欲しいし、もしまたスパイダーマンの映画をつくるとしたらマコーレーがスパイダーマンを演じればいいと思っているし、スター・ウォーズだったらジェダイになればいい。ライトセーバーを持っているマコーレーを想像するだけで最高だろ?
俳優、そしてミュージシャンとして活躍している彼をもう一度ステージの上でみられる事を期待したい。

Creator

BEDROOM RECORDS

90年代生まれの幼なじみ2人が音楽、映画、アートなどの様々なカルチャーをマニアックな視点で掘り下げて発信していくプロジェクト。栃木県足利市名草町にて2020年BEDROOM RECORDSをオープン。厳選されたレコード、CD、VHS、様々なアーティストの作品などを展示・販売。オリジナルグッズも展開中(現在休業中)。