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サルゴリラ、優勝おめでとう!
キングオブコント2023、超おもしろかった!
最終に残った3組の中では、特にカゲヤマを応援していたが、サルゴリラのネタは満場一致の優勝だった。初登場で、ダークホースという役は、優勝をより痛快にさせてくれる。松本人志が「今までなら3位、4位とかにいる芸人が、優勝していてもおかしくなかった。今年は非常にレベルが高く、最も難しい採点」と言い、ファイナリストが全員超おもしろいと、誰かがかすんで見えてしまうという〈もったいないとんでもない現象〉が起きた大会だった。
毎年見ていると確実にレベルアップした大会になっていて、芸風などによっては、勝ち目がないかもしれない芸人もたくさん出てくるのではないか、と余計な心配も出てきた。今は、ストーリーのある台本、文脈やコンテキストを重視するような傾向にある気がする。出オチやキャラクター重視だけではもうみんなウケないし、展開の弱い内容では物足りなさを感じてしまう。
数年前の某コンビの、あの優勝は一体なんだったんだ
あの悪夢のような結果はもう見たくない、と思っているので、審査員が今のメンバーになって本当に良かったし、コントの水準が上がり、それが評価される大会だと思うし、ネタの振り幅は広がるばかりで「コントは夢がある!!」と言いたくなった。
カゲヤマのタバやん。は高得点を叩きだしたときも、最終決戦へ1位抜けした時も、嬉しいいいい~~!!と叫び、真っ白い歯をむき出しにして、全身を震わせていた。対して、優勝したサルゴリラは一瞬涙ぐんだが「うそでしょ?信じられない」という表情のままエンディングを迎えた。2019年M-1GPで優勝したミルクボーイも、その瞬間まるで同じ表情をしていたことを思い出した。まさか自分たちが優勝だなんて…いつもやってるネタをやっただけなんで…というような、ある種の気負ってなさを感じた。
とても好きなネタを披露したのが隣人だった。準決勝配信で見た2本目のネタ。どうしてもあれをまた見たいのだが、大阪の劇場へ行くしかなさそうだ。現在M-1GPの予選開催中で、3回戦のネタをYoutubeで見ていたら、隣人のエントリーナンバーは〈4〉だった。それがもうおもしろかった。
思想コント師
この辺でこの原稿を終えようと思っていた今、芸人ゾフィーが解散するとニュースがあった。キングオブコント終了直後での、この発表のタイミングに色々なことを感じて涙ぐんだ。しかも、来年、単独ライブの予定もあったのにだ。なにか決定的な事が起きたのだろうか?
ゾフィーの上田さんは、毎日四六時中コントのことばかりを考えているそうだ。
2年前、Aマッソの加納、ラランドのサーヤの2人が『余韻と脚色』というライブ開催にあたり、チケット発売宣伝をYoutubeで生配信していた。2人は、ライブの中でコントをやろうと言いだした。コントを書ける人に脚本を依頼しようということになり、2人がせーので呼んだ名前がゾフィー上田さんだった。
2人はゲラゲラ笑いながら「人生は全てコントのため!思想コント師!」「筆が止まんねえ~」「俺がコントだ」などと、褒めと悪口の両方が入ったいじりを盛大に繰り広げた。早速オファーしようと電話をかけるが、コールしても出ない状況に「今コント中だ」「なかなか電話に出ない人っていうコントやってる」とまたいじり倒した。
数分後、上田さんから折り返しの連絡が来ると
加納「もしもし?今何してた?コント書いてた?」
上田「あはい、ちょっと集中してました」
2人「ゲラゲラ」
見に行くライブにゾフィーがいると、今日はどんなコントかなと期待し、それはいつも上回った。他のコンビであまり笑えなかった時も、トリにゾフィーがいて良かったと思えるネタを毎回披露してくれた。アルコ&ピースの平子さんは〈令和のモンティパイソン〉と呼び、そんなコントばかりだった。
昨年はキングオブコント準決勝直前に、相方のサイトウさんが飲み歩き、コロナ濃厚接触者になってしまい出場がかなわず、コンビ仲が最悪になり解散寸前とか言われていた。コンビ間の温度差が生じ、変わらなかったのかも知れない。上田さんの苦悩はサイトウさんには計り知れないし、サイトウさんは己をどう売っていいのかわからずに持ちネタ「ちぇだぜ!」を使いこなせないままだった。
解散の理由には、2人にしかわからない理由がたくさんあるのだ。上田さんは、今後もプレーヤーでありながら、作家としても活躍していくのだろう。
それにしても、ちぇだぜ!