Column

2024 お正月

PEANUTS BAKERY laboratory

12月から正月にかけての慌しさや華やかさ、静けさいろいろなものが入り混じってくるムードが好きだ。誰かのためのプレゼントを用意したり、大掃除をしたり、来年のための新しい靴下や下着を用意しながら1年を締めくくりたくなる。

年末から年始にかけての天気はおおむね乾燥して、よく晴れていて気温も下がり空気が澄んでいて気持ちがよいものだ。

新年の初めは駅伝をみたり餅を食べたりだらだらとする。
繰り返せることは喜びだと思う。

能登震災が元旦の夕方に発生し、こたつの中でテレビの報道をみながら、私自身が寒さで全身に蕁麻疹が出るような体質だから、避難先の暖の取れない場所で寒く不安な夜を過ごす人たちのことを想像すると胸がつぶされそうに重くなった。

ベッドに入り布団を掛けてぬくぬくと体を温め、目を閉じて1日を終えられることが当たり前ではない。

三が日の間、いつも通りランニングをしたが、自分が健康で気力も体力もあろうが道路が陥没していたら足を痛めるし、汗をかいてもお湯が出なければシャワーを浴びることもできない。走る自由さえもなくなることが隣り合わせにあるんだと知る。自分ひとりの力ではない大きな奇跡の連続の中で、たまたま生きているんだなと走りながら考えた。

新年を迎え、10日目の今日もやはり明るい心持ちにはなっていない。秦野市の天気はここのところは毎日快晴で山々も空もこの時期特有の穏やかで清潔な様子。そしてSNSへの関心が急激に失われてきた。

以前はこのような感じではなかった。同じ時の中で自分ではない誰かが経験している辛さや苦しみに、今ほど同化せず切り離すように自分の生活や周辺の出来事に舞い戻っていた。この切り離しが全てにおいて年々曖昧になってきている。

内面がどのようだろうが、朝目を覚まし、水を飲んで公園へ走りに行き、図書館で小説を借り、買い物してシャワーを浴びて昼はカレーうどんを食べた。

今日もだいたいいつも通りに物事は運んでいる。
繰り返せることは幸せだと思う。

1月ごろの秦野の山々と空

Creator

PEANUTS BAKERY laboratory 長谷川渚

1980年生まれ、神奈川県秦野市存住。パンを焼き、菓子をつくり、走る人。開業準備中。屋号は幼少期から常に傍らに居続けるSNOOPYのコミックのタイトル、及び秦野市を代表する名産物である落花生から。「laboratory=研究室」というと大袈裟な聞こえ方だけれど、かちっと決めてしまいたくない、常により良さを求めて試行錯誤する場所、自分でありたいという思いを込めて。