Feature

今年も開催!
〈ODD:変〉な学校の文化祭、
妄想文化祭へようこそ
〜後編〜

渡邉慎也

後編は、団地で開催する理由と今後のODD SCHOOLの活動について質問をしました。

※前編を読む

〈ODD:変〉な切り口で団地文化を考える

ー なぜこの広瀬団地で文化祭を開催しようと思ったのですか?

僕は社会科の教員なので、高度経済成長期に勃興した団地文化の役目が揺らいでいる状況に関心がありました。そんな中、友人の建築士がLIFORTのリノベーションに携わった広瀬団地のオープンルームに誘われて、行って見たらおもしろいなと。ODDはいろんな視点で物事を捉えることを大切にしているので、違う切り口で団地にアプローチをしているLIFORTの取り組みに共感を覚え、ここでやりたいと思いました。

ODD SCHOOLのODDはODD FUTUREからつけました。初めは既存の公教育に対するカウンターカルチャーとして、〈ODD:変〉な第3の選択肢があってもいいじゃないかと。そんな背景からもここで変な切り口で自分たちも色々やってみたいなと思いました。

ー 広瀬団地には住んでいる方もいらっしゃいますが、住民の方とのエピソードがあれば教えてください。

広瀬団地で活動を始めてからまもなく広瀬町2丁目3区区長の金子さんという方と知り合いました。その方がとても熱いお方でLIFORTや僕らの思いに共感し、住民の方々との間に立ってくださっているおかげで、色々やらせていただいているので区長や住民の方々に本当に感謝しています。また毎月第1日曜日に、住民総出の早朝清掃がありそこに去年から参加させてもらっています。だんだん顔を覚えてくださり会話が増えてきたことが嬉しいです。早朝清掃後、近くにある新木珈琲店でモーニングをしばくというのがルーティンになっています。

ー 文化祭を開催するということは、団地の活用方法のひとつでもあると思いますが、渡邉さん自身で今後「もっとこうしたい!」といったイメージがあれば教えてください。

広瀬団地にある旧広瀬中学校(廃校)を使いたいです!泊まれる団地の妄想文化祭などもやりたい。夜は眠らないネオン街が出現し、団地の住人がバーテンダーになったり、音楽に身を揺らしたり。団地は社会的なものなので人や組織が存在してこそだと思いますが、妄想文化祭(ハレ)で仮想住人が表現する妄想たちが、後々本当に広瀬団地の日常(ケ)に出現してきたら面白いなと思います。そんな団地の希望になる1日になればいいですね。

「ひと夜の夢だったのか?」と思ってしまうような、でも確かに思い出には残っていてまた日常をやっていく心の支えになるような、そんな文化祭をやってみたいです。

社会教育の変わり種、群馬にODD SCHOOLあり!

ー ODD SCHOOLを設立して4年が経ちますが、どのような変化を感じていますか?

おかしなことかもしれませんが設立してから「ODD SCHOOLってなんだろう?」とずっと自分に問い続けていました。ぼんやりとしたビジョンと衝動だけでスタートを切ったもので「じゃあ誰と、何をしてどうやって向かっていくのか」が見えずしんどかったです。今もまだ手探りですが〈文化祭〉いうキーコンテンツを作ったことで、やりたいことが伝わりやすくなって仲間も増えてきたように感じています。

今チャレンジしていることは思いを仕組みにしていくこと。そのために文化祭や日々のコンテンツをよりよくするのは当然ですが、今あるものをひとつずつ整えていきながら、同時にお金が回る状況にも少しずつトライしていきたいです。

ー ODD SCHOOLの夢や目標があれば教えてください。

日本の社会教育の変わり種といえば、群馬にODD SCHOOLありと言われたいです。ODDの校舎が各地にでき、文化祭も各地で開かれるようなイメージ。目標は現実世界に学校を作ること。昭和のマンガ家たちが若手時代に暮らしていたトキワ荘みたく令和のODD荘を作りたいです。そこに向かって文化祭などのコンテンツを立ち上げながら、みんなで学校を作るプロジェクトをやって行きたいですね。

ー 今後のODD SCHOOLの活動を教えてください。

広瀬団地に拠点となる場所を借りたいと考えています。メンバーが気軽に集まれるような場所がまだ整えられてないので、まずはそこから。文化祭以外の日々のコンテンツは月1のODD DAYという授業をする日がありますが、その辺りをもう少しブラッシュアップして社会科見学など外向けにもできたらと思っています。

今年の妄想文化祭の詳細はODD SCHOOLのInstagramをご覧ください。

※前編を読む

Creator

渡邉慎也

1990年生まれ前橋市出身。群馬県立前橋高等学校、群馬大学教育学部卒業後、群馬県教師として着任。在職中に文化祭などの表現活動や共創体験から様々な〈ODD:変〉を前向きに捉えより面白く生きるヒントを見つける社会の学校ODD SCHOOLを設立。一旦教員を辞め、ベンチャー企業で新規事業の立ち上げなどを経験したのち、2023年6月から教員に戻って現場で教育を学び直す日々。